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彼の好きなところ2

好きポイント②器が大きい

彼の好きなところの二つ目は、何を聞いても動じないということだ。包容力があるというのとは少し違うのだが、「想定の範囲」が広いのだと思う。彼自身がバイセクシャルだとカミングアウトしていることがもしかしたら関係あるのかもしれないが、大抵何を言っても驚かない。アメリカでの就労経験が彼の「想定の範囲」を広げた要因かもしれない。

初めて一夜を共にした日、私は彼に経験人数を話した。正しくは、問い詰められて答えたのだ。初めは、付き合った人数が1人だから経験人数は1人だと嘘を付いていた。好きだと告白して彼の返答を聞いて、私が泣いた後、夜の事情を少しずつ話した。ほとんどがオンラインで出会った人で2桁を超えてから数えるのをやめたので正確な人数は分からないが、おそらく20人前後ではなかろうかと伝えた。

彼は羨ましいとまで言った。ここは男女で価値観が変わるところではないかと思うのだが、私の場合は無駄に増えた経験人数は勲章でも武勇伝でもなく、ただの黒歴史だ。寂しさを埋めるために出会いまくっていた時期、結果としては虚しさだけが募った。

ドン引きするどころか、どんな媒体で出会ったか、どういう流れで出会うことになるのか、など手法を聞きたがった。会う回数を重ねて、どんな男と出会ったか、どんなプレイの経験があるか、今までで一番嫌だったのは何か、と質問してくる内容も濃く深くなっていった。彼が楽しんで聞いてくれるならとどんどん答えた。今考えれば、彼女になる人間じゃないからこそ、自分と違う経験をした人にHow toを聞きたくなったのだろう。

「こんな話、墓場まで持っていこうと思ってたのに」とは言ったものの、「好きな人には隠し事をしておくのが辛いから言った方が気持ち的には楽なんだよね」と言ったら「それも含めて理解してくれる人がいいんじゃない?」と未来の恋人に対するアドバイスもくれた。

彼にとっては「夕飯何食べる?」と同じテンションで話せる話題なのか、それともやはり「恋人にならない英雄の武勇伝」を聞かせてもらっているという感覚なのか。どちらにせよ、誰にも話せなかったことの一つを彼が口を挟まず聞いてくれて、聞いた後も縁を切ることなく付き合いを続けていてくれて、それだけでもなんだか救われた。

人に話さない話題だからどんな反応をしてくるか想像が付かなかったが、あまりに自然に受け入れる彼に拍子抜けすらした。軽蔑はされたくないのに、リアクションは期待するというなんとも自分勝手な人間だ。

書いてみて改めて思った。彼には話しすぎた。こんな女、自分の恋人になるんだったら嫌だろう。私は相手が過去にそういう経験をしていようと今が一途ならそれで構わない。ただ、好きになった相手が必ずしも同じ価値観を持ち合わせているとは限らない。むしろ少数派なのではなかろうか。今回はしんみりしてしまったのでここまでにしよう。

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