ネットでの危険な出会い体験談3
⬛︎その三「尽くしたい男」
この男はありとあらゆる物を持ってきた。事前に電話で相手は攻めたい、私はいじめられたいという要望を伝えていたので、流れはかなりスムーズだったように思う。駅で待ち合わせて、そのままラブホテルに向かった。部屋に着くなり、カバンから出るわ出るわ、あんなものやらそんなものやら。
覚えている限り、
・ローション
・拘束用テープ(材質はビニールテープに似ていて、幅は一般的なクラフトテープぐらい、だがテープ同士しかくっ付かないという特性がある。)
・針のない注射器
・バイブ
・ピンクローター
・電マ
・パッケージにおどろおどろしい字体で「SM」と書いてある低温蝋燭
は少なくともあった。
怖いというよりは圧倒されたと言った方が正しいだろう。ネットでしか見たことのないものが目の前にある。持ち物をこちらが事前に指定したわけではないが、日頃のお勉強の成果か、全て使い方は知っており、好奇心の方がまさった。
ハグをしてキスをして、耳から首へ、肩から腕へ、お腹から太ももへ、じっくりと念入りに攻められていく。いや、これは焦らされているのだ。感度が高まっていくのとともに、胸が高鳴っているのが自分でも分かった。内心(早く触ってー!!!)と叫び出したい気持ちでいっぱいだった。
全身性感帯に仕立て上げられた感度MAXの私の秘部に電マを当てられた。触れられただけで頭がおかしくなりそうだった。スイッチが入り、振動がだんだんと強くなり、足の先に電流が走る感覚だった。止めどなく押し寄せる快感の渦、電気で痺れているような感覚のつま先。もう自分の体のコントロールが効かなかった。私はそこで初めて頂点に達する経験をした。
本能が剥き出しになり、獣と化した私は男を求めた。理性を失った人間というものは恐ろしい。こんなチビで不細工な男のことを自ら求めているのだ。ズボンのベルトを緩め、ファスナーをおろし、下着の上から指でなぞるが、優しく手を払いのけられる。え?どういうこと?もう一度試してみても同じだった。男は触られることを極端に嫌がった。私、全裸ですけど?あなた出会った時と同じ服装ですよね?帽子脱いだぐらい?
正直、とても気持ちよかったし、決定的に嫌な思いをしたわけではないのだが、相手が喜んでいる表情や反応を見るのも好きだし、何より自分自身が物足りなくなってしまった。
男が持ってきたものは半分以上使わずに帰ることにしたのだが、帰り際に「これ全部預けておくね。次会う時にまた持ってきて」と言われた。もう次がないことを男が知るのはほんの数時間後だ。