彼の好きなところ6
好きポイント⑥清潔感がある
これは人として当たり前なのではなかろうかと思うのだが、できていない男があまりに多すぎて、相対的に彼がものすごくよく見えるだけなのかもしれない。
髭の剃り残しがない、鼻毛が出ていない、爪の間に汚れが詰まっておらず短く切り揃えられている、などは最低限の身だしなみかと思うが、もちろん全てクリアしていた。
ホテルに着いて隣に座って雑談しながらイチャイチャ。腰に腕を回してきたり、髪を撫でてくれたり。会う時は必ず柔軟剤がふわっと香って、その心地良さにくらくらする。じゃあそろそろというタイミングで「お風呂入れてくるよ」と立ち上がる。そうこれだよ!がっつきすぎず、もっとと思うぐらい高まっているところでお預けされる。焦らされているとすら感じる。
お風呂が沸いて私が先に入る。体を洗って湯船に浸かってしばらくすると「入ってきていい?」と彼が聞く。体をきちんと流してから湯船に入ってくる。バックハグされるような形で彼の脚の間に入る。石鹸の香りがいい匂い。彼はすぐにのぼせるということでいつも湯船はぬるめの温度に設定してある。長く入っていたいからこれぐらいでもちょうどいいのかもしれない。
腕、脚、お腹、ゆっくりゆっくり沿わせるように彼の指が私の体の上を滑っていく。首にキスをされ、感度が高まる。至福の時間だ。向かい合わせになり、耳元で囁かれ、唇にキスをされ、頭の中が彼でいっぱいになる。ふわふわと夢見心地。きっと私はのぼせているだけだ。そう自分に言い聞かせる。
思考が鈍ったところで一緒に上がってタオルで体を拭く。寒いだろうからと彼は浴室の外で、私は中で水気を拭き取る。すっかり綺麗になった状態でベッドに行く。完璧な流れだ。安心しきった私はこれから行われる快楽に没入していく。
行為が終わった後、ピロートークをしながら彼が私の体に触れ続けていてくれる。ひと段落ついたら、彼がまたお湯を張りなおしに行き、お互い別々にお風呂に入ってしっかり体を洗う。それ以降、彼は全く私の体に触れてこない。
同じベッドに入って話はするものの、絶妙な距離感を保ってお互いのパーソナルスペースを侵略しないようにしているかのようだ。彼にとってスキンシップは行為の前の目的ある行動なのかもしれない。彼にその意思がない時にはしないという魂胆なのだろう。私は体温を感じられるだけでも、肌に触れているだけでも安心するし、心地よいのだが、それを望むなら他の相手を探さざるを得ないらしい。