過去の恋愛 〜T先輩編〜
今回は高校1年生の頃に好きだった先輩の話。私の2学年上の同じ部活の先輩だった。今思えば「先輩マジック」だったのかもしれない。技術の高い人に憧れを抱いていただけだったのか、今となっては分からない。
入部して数ヶ月経った土曜日の練習の日、男女問わず無邪気に色んな先輩のメールアドレスをゲットする振りして、お目当てのT先輩のアドレスも聞いた。当時から強かな女だった。我ながら笑ってしまう。
先輩とは数日間、メールでやり取りをした。出身中学、中学時代の部活、など比較的当たり障りのない話題だったと記憶している。しかし、男性とそんなに頻繁にメールをしたことがない私は、それだけで舞い上がってしまった。
もしかしたら先輩も好意を抱いてくれてるからこんなに他愛もない話に付き合ってくれてるんじゃないか。頭がお花畑すぎる。
メールでのやり取りを数週間続けた後、話をしたいから電話をしたいと言った。「好きです」と伝えた。T先輩からの返事は「好きな人がいる。ごめん」だった。
なぜもっと確証を持ってから当たりに行かないのかと無鉄砲な私を殴りたくなる。電話を切って、これまた大きく泣いた。私の人生、失恋して泣いてばかりだ。
数日後、T先輩が私の同学年の子と付き合い始めたことを知った。なんでも、文化祭で見たその子の姿が可愛かったからというのが決め手らしい。部活動中の話じゃないのか。ということは、その前から気になっていたということか。元気でいつも笑顔の明るい子だ。私とはあまりにタイプが違いすぎる。
帰り道、肩を寄せ合って歩く2人の姿を見て、悲しくなった。私はT先輩のことが好きだということを誰にも言わなかった。
2人は学年が変わるよりも前に別れてしまった。付き合っていた期間はたったの数ヶ月間。そこまで好きではなかったが、付き合ってみたものの、やはり好きにはなれず女の子の方から振ったらしい。
後からその同学年の女の子から直接聞いたのだが、どうやら私が告白したことをきっかけに、T先輩はその子に告白したらしい。
その子も私がT先輩を好きだったことは言いふらさないでいてくれた。T先輩がフリーになった頃にはもうとっくに私の恋心も冷めていた。
そんな、私が初めて恋のキューピッドになった時のお話。