彼の好きなところ18
好きポイント⑱謙虚
一言でまとめるために謙虚という言葉を使ったが、どちらかというと、自分を過小評価していると言った方が近いかもしれない。
彼は顔も整っているし、学歴も経歴も輝かしいし、よく気付いて気遣いができるし、しっかり自分の力でやりたい仕事を掴み取っている。
それなのに全く驕らないのだ。そればかりか、「たまたまっすよ」「運が良かっただけっす」なんて言って絶対に自分の能力を認めない。努力をしているはずなのにそれをひけらかさない。運を掴むのも本人の才能だと思うけどな。
彼はよく自分の好きな音楽をかけて私に聞かせてくれる。私もよく知る曲だとつい口ずさんでしまう。彼も乗って一緒に歌うことがある。「今度ちゃんと聞かせてくださいよ」と私の歌を褒めてくれたので、一緒に歌おうと誘うと、「俺音痴なんで無理っす」と返ってきた。
鼻歌を聞いた限り音痴というほどではなさそうだ。しかし、母親から音痴だと言われていたから自分は音痴だと思っていると言っていた。思い込んでるだけではないかとは思うが。
就職先に関してもそうだ。彼は自分の行きたい業界の選考に通り、何社か最終面接まで行っていた。そして2社から内定をもらい、どちらも違う魅力があると悩んでいた。贅沢な悩みだ。
結局、幼い頃からの夢を優先して今の仕事を選んだが、給料も良く、同僚や上司にも信頼され、充実した社会人生活を送っているようだ。何より、仕事を始めて活き活きとした表情で話すようになった。始めた頃より順調に忙しくなってきており、少々ハードすぎる気もするが、本当にやりたいことをやっているなら幸せなのだろう。
また彼の母親は就活に対しても、そんな有名なところでやりたいことやらせてもらえるなんて何かの間違いだなんて言ってきたらしい。傍から見ていると、お母様、面白すぎる。
こんなにスペックの高い息子、もっと褒めて育ててあげてもいいような気がするのだが、彼の口振りからすると幼少期からこうだったのだろう。
さて、いよいよ本題に入る。なぜ謙虚なこと、能力をひけらかさないのがいいのか。それは本人が常に努力しようとし続けるからだ。顔が不細工なら身嗜みを整えよう、夢が叶ったのは自分が凄いからではなく偶然が重なっただけだから次も頑張ろう、そういう思考になるようだ。
彼の魅力はそこにある。負の感情エネルギーは次へのステップに繋がる。常により良い姿でいたいと努力する彼が素敵で大好きだ。そう思うと、もしかしたらお母様の教育方針はそこが狙いなのかもしれない。