マッチングアプリ体験談17-8
●第17話「マグロ男」8
前回の話はこちらから。
さあ、いよいよだなと私は相手の雰囲気を察知した。この時の体勢は私が仰向けで、男が横に座り覆いかぶさるようになっていた。男は私に跨ってきた。ん?いや、それは危なくない?粘膜同士触れ合ってしまわない?「そろそろ行けそうかな?」ああ、確かに電話で話した時、男は自分でEDであると言っていたな。
「いや、分からないよ」と私は答えた。初めて会う男のそれが完全体かどうかなんて分かるわけない。形状や大きさは人それぞれだ。「じゃあ大きくして」そう言われて男は仰向けになり、私は片手で包み込んで上下に動かした。目で見るより触った方がより大きいことを実感できる。しかし、大きければいいというものでもない。
「今ならできるかも」そう言って男は私を仰向けにさせた。そしてそのまま入ってこようとする。
私「ゴムは?」
男「付けたら萎む」
私「ゴムしないならこれ以上しないから」
男「1個しかないんだよな。今使っちゃうの?」
はい?何をほざいてる?まず避妊せずにしようとしているなんて論外だし、1個しか用意していないのも理解不能だ。
私の「付けて」という熱心な説得にやっと応じて男はゴムを使った。この攻防を繰り広げてても萎んでないじゃん。大丈夫じゃん。もう男があまりに信用ならなくて私は楽しむ心がどこかに消え失せた。私も数々のアブノーマルなプレイを経てきた自負はあるが、さすがに生で入ってくるのは許容しがたい。
もうイッたフリをする義理すらないなと判断し、壊れかけのラジオのように「気持ちいい」という言葉だけを連呼し、男が果てるのを待った。わりとすぐに終わりがやってきた。
男は自分が満足したらさっさと抜き、使い終わったゴムを先程コンビニで買った食料のゴミを入れていた袋にそのまま捨てた。ティッシュを数枚取り、自分の汚れた部分を拭っている。自分の処理が終わったら思い出したかのように「あ、ティッシュ使う?」と聞いてきた。「いい」私は半ば諦めに近い感情でそう答えた。幻滅した。
途中から期待もしていなかったものの、やはりがっかりはした。私の存在、絶対忘れてたよね?男性諸君、よく聞いてほしい。ここからの流れはその後の2人の関係性を大きく左右する。
女性から「お邪魔しました」と出た後は、先に女性の汚れてしまった部分を拭ってあげるのだ。愛する彼と熱い行為をした直後であれば、女性は敏感になっており、大好きな男性が拭いてくれるだけでまた気持ちよく感じる。愛されている実感も芽生える。玄関から出てすぐに、外して捨てるまでが入っても構わない。しかし、間違っても自分のを先に拭いて、おまけにパンツなど履いてはならない。女の子をほったらかしにする時間は1秒でも2秒でも短くしなければならない。
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