マッチングアプリ体験談17-2
●第17話「マグロ男」2
これは前回の続きである。前回の話はこちらから。
翌朝は私からおはようLINEをした。「連絡くれて、言ったことちゃんと実践してくれて嬉しいよ」と返ってきた。こんな幸せ、世の中に存在するのか。私たちは毎日LINEを続けては2〜3日に一度1時間半の通話をする仲になった。
2回目の電話で男はカメラをONにした。ふむ…アプリの画像と違うところはあるものの、大きく加工したわけではなさそうだ。せがまれたが、私はその日ビデオ通話には切り替えなかった。
3回目に話した時は男から強く希望され、私たちはビデオ通話をした。男は画面をまじまじと見ていた。「綺麗だ…。こんな美人が僕と電話しているなんて考えられない。他の男に取られたくない。」平気でこんな口説き文句をさらっと言う男だ。
確か4回目の電話で、私は自分の恋愛遍歴についてコンプレックスがあることを話した。ネットで知り合った男と一夜を共にし、経験人数だけが増えていったことも話した。私は自分のことを話すと涙が出てきてしまう。男は「偉いね。真剣に向き合おうとしてくれてるのが嬉しいよ。ショックだけど、教えてくれてありがとう。」と言葉を返してくれた。この人のことは大切にしようと心に誓った。
その時、男は「これは言わなくてもいいかもしれないけど、EDって知ってる?」と聞いてきた。そうと確定したわけではないが、前の恋人と別れたのが辛くてそうなってしまったと打ち明けてきた。正直、どうでもよかった。「手を繋いだり、抱き合ったり、相手の存在を感じられる時間が好きだから、その後はなくてもいいぐらい。全然なんてことないよ」私はそう答えた。男は「でも子ども欲しい」と言ってきた。本来であれば、この返しに疑問を抱くべきだったのかもしれない。
男はある時、「僕たちはどうしてこんなに電話していると思う?」と聞いてきた。私は「お互いそれが心地よいからじゃない?」と返した。男は喜んでいた。浮かれているのも舞い上がっているのも分かってはいるが、私はすでに男のことを好きになっていた。
お互いの会いたい気持ちが募り、それぞれ自分が休みの日に相手に押し掛けようとしていた。私は男の地元からの終電を調べて、会いに行ってその日のうちに帰ってくるとしたらどれぐらい一緒にいられるだろうと計算した。それほどには本気でバカになっていた。
マッチング成立してからほぼ1ヶ月、やっと2人の休日が合い、会う約束をした。私は2連休の2日目、男は単休。何時にどこ集合にする?会ったら何をする?LINEでそんなメッセージのやり取りをするのが楽しかった。
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