特別な1回
ぼくの地元はそれなりの田舎なんですが、小さい頃は一応映画館があったんです。時代も昔ですし、小さな小さな田舎の映画館なんで、都会よりも映画が遅れてやってくるんですよね。公開時期が普通の映画館よりも遅いわけです。ただ昔だったので、ネタバレがあるわけでもなく、ネットでクチコミを見られた訳でも無いのであんまし問題も無いんですけどね。あとは話題作がかかることはあんましなかったような気もします。話題作だったら、みんな少し足を伸ばして大きい映画館まで見に行っちゃいますから。そこら辺の理由もあって、ぼくも地元といえどそこの映画館に足を運んだのは、覚えている限り1回だけなんです。小学生の頃に1回きりです。地元に18年間いてたったの1回でした。もしかするとぼくが地元を出るよりも先に映画館が閉館になっていたような気もしますので18年間という期間も微妙ですが。
ただその1回は特別だったんです。見た映画が特別面白かったかと言われると正直、あんまし覚えていません。面白かったことは面白かったんですが、そもそもその映画が何だったかもあやふやなんです。見た映画は「学校の怪談」シリーズのどれか、多分3か4だったとは思うんですが、しっかりとは覚えていないんです。
じゃあ、何が特別だったかというと、友達だけで、そう子ども達だけで初めて行った映画だったんです!!あのドキドキ感っていまとなっては中々無いんですよ!それまで必ずそばには親だったり学校の先生だったりがいてくれた中で、小学生の自分たちだけで映画を見に行く!位置的には近所も近所なんです。なんなら公園の方が遠いくらいです。でもその場所に自分たちだけで行くのはとても特別でした!言うなれば冒険ですよ!
入口で料金のを払ってチケットをもらって暗い劇場に入っていく!映画のシーンははっきりとは覚えてはいないのに、そのシーンは鮮明に今でも浮かび上がります!すごくドキドキわくわくしていました!中に入ると、お客さんは自分たちだけ!まさかの貸し切り状態!座席選びたい放題!真っ暗になって、始まる映画!内容をあまり覚えていないというか、どれかすら覚えていないのは申し訳ないのですが、多分、面白かった!というか、面白くないわけないんです!初めて友達同士で行く映画で、なんですもん!そりゃあ、面白いですよ!というか、楽しい主人公も自分たちと同じ年頃の小学生のお話ですよ!あっという間に映画は終わってしまいました。ほんとに一瞬でした。そして映画館から出ると、外の日差しがすごくまぶしかったんです。
ぼくは今でも映画館で映画を見ることが好きです。もちろん映画それ自体が好きだからです。ただ家で見るより映画館で見ることが好きなのは、きっとあのドキドキわくわく感を思い出すからだと思います。