メキシコの唐辛子(チリ)
メキシコは世界第2位のチリ生産国。
「チリ」という言葉はナワトル語の「チリー(chilli)」に由来し、一年生で栽培される草本または低木性の植物の多様な品種や形態を指します。
チリの特徴は、カプサイシンを含むにもかかわらず、非常に健康に良いことです。オレンジよりもビタミンCが多く、トマトよりもビタミンAが豊富で、さらにマグネシウム、鉄分、チアミンの優れた供給源でもあります。
メキシコには100種類以上のチリが知られており、ハラペーニョ、セラーノ、ワヒーヨ、アンチョ、ハバネロ、デ・アルボル、カスカベル、マンサーノ、ピキン、アグアチリなどがあります。
メキシコでは日常的な食事で最もチリを使用する国の一つで、ソースや煮込み料理などさまざまな料理に使われます。
■メキシコ、チリの発祥地
メキシコの3大変革期において、愛国者たちの食糧は常にトウモロコシのトルティーヤとチリでした。チリはメキシコ料理を代表する文化的シンボルとなっています。歴史的に見ると、カボチャ、トウモロコシ、豆と共に、チリはメソアメリカ文明の基本的な食材でした。
様々な資料によると、チリはメキシコが原産地とされています。考古学的証拠によれば、紀元前7000年から紀元前2555年の間に、プエブラ州のテワカンやタマウリパス州のオカンポ地域で栽培されていたとされています。
■国内生産
国際的に見て、メキシコは14万ヘクタール以上の栽培面積を持つ世界第2位のチリ生産国です。主な栽培品種は、ハラペーニョ、セラーノ、ポブラーノ、モロン(ピーマン)、ハバネロです。チワワ州が年間56.2万トンで主要な生産地であり、続いてシナロア州が55.6万トン、サカテカス州が34.8万トンとなっています。
2021年の生鮮チリの生産量は3,086,742トンでした。主要生産州は以下の通りです:
シナロア州 - 659,684トン
チワワ州 - 578,522トン
サカテカス州 - 426,086トン
サンルイスポトシ州 - 341,216トン
ソノラ州 - 219,877トン
現在では、少なくとも200種類の在来種と64種類の栽培品種がメキシコに存在し、国境を越えて広がる食文化に使用されています。
■種類
メキシコには64種類の在来チリがあり、そのうち25種がオアハカ州、12種がゲレロ州、10種がプエブラ州、9種がベラクルス州に分布し、残りは他の州に分布しています。
・チレ、アンチョ
赤褐色のごく一般的な唐辛子。マイルドな辛みと甘みを併せ持つ。
・チレ、モラ
小ぶりの赤みがかった唐辛子。
・チレ、ムラート
黒ずんだ色でしわの寄った唐辛子。味がいいとされている。
・チレ、パシージャ
強い辛みと苦み、コクがある唐辛子。
・チレ、ワヒージョ
赤褐色で、つるつるした表面。
■果物か野菜か?
チリは食用可能な種子を内部に持つことから、明確に果物に分類されます。トマト、ズッキーニ、ナスと同様に、野菜のように見える最も一般的な果物の一つです。種子を持ち、その種子を食べることで繁殖する必要がある甘くない食材は基本的に果物とみなされます。
■豆知識
チリは乾燥させると名前が変わることをご存知でしょうか。例えば、ポブラーノ・チリは乾燥させるとアンチョ・チリとなり、ハラペーニョは乾燥させるとチポトレと呼ばれます。
そんなチレの比較動画はこちら
メキシコにおけるチリは、メソアメリカ文明から現代に至るまで、食生活において重要な役割を果たしており、多目的な食材・調味料としてメキシコ料理の文化的シンボルとなっています。
参考)