創って学ぶ数学とは
1.想い
「あなたにとって数学とはなんですか?」
十人十色な答えが聞こえてきそうな質問ではないでしょうか。私の答えは年齢によって変わります。というより,数学とのこれまでの付き合い方でしょうか。
小学校2年生:通信販売限定のポケットモンスター青を買ってもらうために,死ぬ気で九九を覚えた。
中学校3年生:受験科目の中で自信がある科目だった。
高校3年生:志望学部の関係もあり,一番好きな科目は生物でした。数学は嫌いな科目であるものの,問題量をこなせばできるようになると思って頑張っていました。
大学1回生:本来の志望学部とは違う学部を目指すこととなり,祖父の言葉もあり,数学の教員を目指すようになる。この頃は「数学嫌いだから,同じ気持ちを理解してあげられる数学教員になる」がキャッチフレーズであった。
大学3回生:学部生として「円描き大会」にスタッフとして参加する。
「円描き大会」へスタッフとして参加したことが,もっとも大きな私の転換期となりました。この大会はフリーハンドでどれだけキレイに円を描けるか競うだけという,かなりシンプルな大会になっています。
このシンプルな競技に込められる参加者の熱意に当てられつつ,桜井進先生の講演を聞くことができたことが私にとっての幸運となりました。大会への参加以降,私は主催者の桜井先生と根上先生の著書を読み漁ることとなります。
2.これまでの取組み
私の教員生活は大学院生時代の私立中高の非常勤講師からスタートします。この学校では常勤講師としてもお世話になり,4年間働かせてもらいました。
図形の単元ではよく折り紙を使いました。比較的安価で大量に仕入れることができるため,とても重宝しています。
一般財団法人理数教育研究所が開催している「算数・数学の自由研究」を参考に,夏休みの宿題として自由研究を課しました。これは調べ学習との違いを明確にできなかったことが反省点でした。
大学受験に備える授業では,問題集の各問題を大局的に捉えるレポートを課し,お互いに共有することで1つ1つの問題の理解を深めることを目指しました。
その後,現在の勤務校で働いています。これまでの経験を生かしつつ,少人数クラスだからこそできる取組みに挑戦してきました。そして,3年目にして,自分のオリジナル授業を開講できることになりました。
3.数学ヒストリーツアー
2019年度冬学期より,18学期の授業(進路が決まった高校3年生向けの授業)として「数学ヒストリーツアー」を開講しました。一般財団法人日本私学教育研究所の委託研究としてもスタートした授業ですので,そちらのnoteや紀要を読んでいただけると幸いです。
初年度は25人の生徒とともに歩み始めたこの授業は,生徒に「国語とArtの授業みたい」と言われるところから始まりました。
授業の目標は「数学をスキになる」ことです。数学が苦手でも構わないのです。何事も「キライ」になってしまうと,それ以上のことを得ることが難しくなってしまいます。だから,せめて「スキ」でいてほしいと思います。
数学史をなぞる授業デザインを取り込み,数学を体感することで,主体的・対話的で深い学びを促しつつ,数学のよさを獲得することを目指しています。