会社からの帰り、実家方面行きの電車に乗ったついでに、久しぶりに実家に戻ろうと思いついた。乗りはじめの頃は、仲間内で騒いでいる学生や酔い潰れたサラリーマンで混んでいたが、気づくと周りにはほとんど人も居なくなり、同じ車両には、ドアの脇に立ってる自分と、自分の目線下で1人シートにうなだれて座っている老人のみとなった。 ぼんやりその老人を見下ろしていてたが、僕は思わず声をあげてしまった 「えっ、とうさん⁉︎」 その声に目を覚ましたのか、寝ていた老人が薄目を開けて見上げた。 「あぁ、
そよ風の気持ち良い大きな草原の一角には木の柵の囲いがあって、その囲いの中では何頭かの動物が草を喰んでいる。そこに大きな白いリボンをつけた少女と水色のコートを着た初老の女性がやってきた。 「ねぇ、おばあさま、みてあの動物。とても変わってるわ、顔はゾウみたいだけれど、体はパンダのように白黒、で体格はまるでサイみたい。」 水色の老女は、あらゆるとこに興味をもつ少女をしばらく微笑ましく眺めていたが、やがて説明書きを見ながらその少女に話し始めた。 「これによると、あの動物はね、『バク』