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重なる手は1万キロメートル先に。


電話をしながら、
全然悲しくもないのに
涙が出てしまった。
感情と行動の乖離。

分からないことが多いから、
生きていくのは大変だと思う。

本当は大丈夫なはずなのに、
だから「大丈夫」と言っているのに
全然痛くも苦しくもないのに
涙がぼろぼろ出てきて、
でも電話の向こうの人には見えないから
「なんか鼻声じゃん?」
って言われるだけだから、
「なんか急に鼻詰まってきたわ」
と、笑った声で話した。

急に泣き出した友達を思い出した。





考えることをやめられたら
どんなに楽なんだろう。
今この私が歩いている
レールを外れて
好きな道を歩けたら
どんなに楽なんだろう。
一緒に走ってたはずの
列車達がどんどん居なくなって
気がつけば一両編成になってた。

なんでこんな荒れ果てて
整備もされてなくて
錆び付いたレールの上を
1人、黄砂に吹かれながら
走っているんだろう。

タタン、タタンと
遠くで併走してる音が聞こえても、
私にはその姿は見えないから
ずっとひとりぼっちの気分だ。

ひとりじゃないよと
遠くから声が聞こえて
ありがとう、ありがとうと
手を大きく振る。
心が満たされるのに
直ぐにひとりぼっちな気分になる。

私が私なのに
鏡の向こうのように
どこか、きもちがわるい。
なぜなの。
重なる手には温度はなくて
でも、確かに私なのに。


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