【短編】17月48日
翡翠色の空が広がって
月が2つに割れた時
あなたに逢いたくなって
菖蒲色の水たまりに飛び込むの。
ふわり夢心地で
空を飛べるから。
太陽が細長く伸びて
アーチを作った日には
この上なく幸せだから
写真を撮ってあなたに送るの。
手を取って、透明で
振り返ればあの頃のままで
大きな藁のベットで二人
空飛ぶリスの数を数えて
今日は偶数だったねと
笑い合って。
空からりんごが降ってきて
早くお出かけしなくちゃって
手を引くあなたが
弾けて、溶けて、消えてしまって
あぁ、そうだね
ここは4畳半
すりガラスとすきま風
窓の外には最高地点の赤いランプ
ゆらゆら揺らめいて
空っぽのシングルベッドと
裏っ返しのコルクボードと
転がったライターと
強がった私と
それからずっと
これからずっと
残された私と。
翡翠色の空が広がったら
また、あなたに会えるから
最高地点に私1人
藍鼠色の水たまりに飛び込むの
ふわり夢心地で
空を堕ちてくから。
fin