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量子の複雑性の中にあるルールを探る

今年の8月、人物紹介の記事作成のためとある方に連絡をしました。二つ返事で引き受けてもらい、質問票に回答してもらったところ、「私はクリスチャンなので・・・」と記入がありました。ご自身の信仰について言及があったのは初めてのことです。私が教会音楽の勉強を始めて1年が過ぎた時だったので、何か意味があるのだろうかと思いました。最後の「何かコメントがあれば」の質問に、ピリピ人への手紙の4:13の一節を書いていたので、「私はイザヤ書の41:10 と45:8が心の支えです」と書いて返信したのでした。

記事は海外のライターが編集するのですが、ドラフトでは信仰のところが含まれていませんでした。文字数に制限があるので仕方がないといえばそれまでだし、メインとなる回答が面白かったし、信仰については国によっては避けたほうがよかったり、大っぴらに話すことではないので、多分削除されるだろうと予想はしていました。しかし、質問票に書くくらいだから、この方にとって信仰は大切なこと。そして、ピリピ人のこの一節は自分を死んでキリストを本当に自分の中に入れているからこそ、出てくる言葉・・・。

教会音楽を学ぶ私には、こちらの都合で削除したとは到底言えない。なので、ご自身に決めてもらいたい。そのためには私の立場を明らかにしたほうがよいだろうと思い、教会音楽の学校に通っていることを伝えたうえで、どうしたいか聞いてみました。

彼曰く、なぜ「イザヤ書の45:8」が心の支えなのだろうかと思っていて、私がザンクトフローリアン修道院のクラウスさん等、さまざまな出会いの中で最終的にイザヤのこの節がきっかけとなり教会音楽を学んでいると知って、ああなるほどと思われたそうです。結局、信仰の箇所は残すことを希望され、私もほかの人の意見を聞き、それで行こうということになりました。

実際に会いに行ったのですが、とても若い人で驚きました。論文の解説記事を作るため、私のところには毎週たくさんの論文情報が来るのですが、2020年よりこの方のお名前を見かけるようになったのです。「すごく面白い内容だけど、初めて見る名前だし、うちの成果といって大丈夫かな?」と思って物理の先生に相談したこともありました。その後、頻繁に彼の名前が入った論文を見るので(しかもトップジャーナルばかり)、彼の論文ばかり取り上げるわけにはいかないと思いつつ、これまで4本くらい解説記事を作っています。なので、なんとなくシニアな研究者かと思っていました。

「で、『並外れた能力を持つ若い研究室主宰者』のポジションに就かれたので、若い人だったのかと驚いたんですよ」と言ったら、「なんかうまくいったんですよー」とニコニコしながら答えてくれました。

この方は、目鼻立ちがはっきりしているアメリカ人がわざわざ私に言いに来たほど、眼が印象的な方でした。確かに、日本人や外国人の俳優にも彼のような眼を持つ人はいないと思っていましたが、ふと、マイケル・ジャクソンに似てるかもしれないと思いつきました。この動画の後半のYou are not aloneは雰囲気も似てるかもしれません。

(というわけでMJにハマる)

そして、印刷版の入稿直前までいろいろありましたが、無事に完成することができました(本当にご迷惑をお掛けしました・・・)。「この分野の日本の存在感を高めたい」と、強い使命感を持っている方です。また機会がありましたら、一緒にお仕事ができればと思います。信仰について深く考えさせられた、2022年の中で一番印象に残った出来事でした。

(アメリカ人のデザイナーはもっとクールな写真を使いたがっていましたが、やわらかい印象の写真にしてほしいとのことで、MJ感は少し薄まっています)

 【後日談】
「所属教会の牧師先生をお招きしてクリスマスパーティーをするので、もしよろしければどうぞ」と言われ、とても興味がありましたが、パーティーのある12月17日は晩課に出たかったので、泣く泣くお断りしました。O-Antiphonaを歌う特別な晩課なので・・・。