子どもたちに伝えたいこと
中学生にキャリア教育の授業を行うようになって10年以上が過ぎました。
ずーっと、こんなことを伝えたいと思いながら、生徒さんたちに会っています。
「世の中にはたくさんの職業があって、それぞれが関わり合っていると言うこと」
子どもは周囲の大人を見て職業を知ります。
と言うことは、住んでいる地域の特色の影響をうけると言うことです。
農業や漁業の盛んな地域、大きな工場がある地域など、特定の産業が盛んであれば、周りにいる大人が就いていることが多く、仕事=周りの大人が就いている…となることが多いです。
それがダメだという訳ではありませんが、世の中にあるさまざまな仕事を知り、それぞれの関わり合いを知ることで、世の中での役割について考えてもらいたいと思います。
「なんのために働くのか お金以外に得られるもの・得たいものはなにか?」
まず、子どもたちに「人はなんのために働くと思いますか?」という問いかけをします。
生きるためにお金を稼ぐという回答が大半です。それはもちろん第一義です。そのお金で買うもの、必要なものを訊きます。
そのうえで、それが充たされたらそれ以外で何を得たいのかを考えてもらいます。
これは大学生~若年者に実施しているグループワークにも取り入れています。テーマはもう少し抽象的になりますが…
でも、このワークで伝えたいことは中学生でも大学生でも同じです。
正答というものはありません…みんな正しいのです。そして一人ひとりが違っていていいのです。
自分について考えて、そして他の人の違う意見を知る…
そう伝えたいと思っています。
「自分はどんな人なのか?について考えること」
自分はこんな時に…うれしくなる・悲しくなる・がんばれる…などを自覚することが大切だと考えています。
普段接している若者たちの中で、常に周囲が期待しているであろう方を選択して来たという方がいます。その方に「あなたが希望するのはどんな状態ですか?」と質問してみると、いくら自分の中を探しても答えが出てこないのです。
「私、親が喜ぶ方を選んできたんですね。自分について主張したことが無かったです。」と話す方もいます。
だから、自分の感じ方について、時々考える機会を持ってほしいと思っています。
「自分がどんな仕事・作業に良い印象があるかについて考えること」
例えば細かい作業にコツコツ取り組むことや、自分の体よりも大きなものを操作すること、誰かのお世話をすること…などなど、自分がどんなことが好きで、楽しいと思っていて、継続的にやっても飽きないのかについて考えてもらいます。
そのうえで、それがどんな職業と結びつくのかを調べていきます。
そして、その職業に就くためにどんなルートをたどればいいのかについても考えてもらいます。
「将来のために今からできること・してほしいこと」
いろいろな知識を取りいれ深める努力をすること
中学生には、今勉強していることは人間としての土台の部分になるよ。と伝えています。その上に専門性を乗せていくのだと・・・
学校の勉強なんて何の役に立つの?なんて思うかもしれませんが、まずは今ある課題に取り組むという習慣そのものが、そしてその知識を定着させるために考える行為そのものが役に立つはずです。
「将来のために今からできること・してほしいこと」
なんといっても作文!!!
自分の考え方や気持ちを表現できること・正しい文法で書けること
単に文字数を稼ごうとした長い文章や、抽象的で意図のとらえにくい文章ではなく、伝えたいことを明確に簡潔に書くことが求められます。
中学生のうちから習慣的に取り組んでほしいことを話しています。
「将来のために今からできること・してほしいこと」
失敗
小さな失敗を経験してほしいと思っています。
今は周りの大人たちが失敗しないように、失敗しないように周りを整えています。そのせいか、就活で失敗することを極端に恐れている人がいるように感じます。特に今年の春に出会う大学生に多いと感じます。コロナ禍で思ったようにならない時を経験したせいなのか・・・自分で判断することを手放してしまったのか・・・
失敗することがいけないのではなく、失敗をどのようにリカバリするのか?が大切だと思っています。
ですから、大したことが無い程度の失敗を何度も経験してほしいと思います。