「自己」からはじまり「社会」へと向かう
キャリア教育…それは子どもたちが社会の中で生きていく術を身につけるために周囲の大人がするすべての働きかけだと考えています。
社会に出るということは、答えがひとつだけではない問いに応えて行くこと。誰かの価値観で生きるのではなく自分が自分らしく生きること。
私たち大人が子どもだった頃は、大人になって社会に出ることは時期が来ればあたりまえに訪れることのようでした。
しかし、現在では少子化による価値観の変化や雇用情勢の悪化などからか、自分らしい一歩を踏み出すことに極度の不安を感じている若者が多くなっているように感じます。
そのような若者と接するたびに、もっと早くから社会に出ることや働くことについて伝え、自分を知っていく経験を伝えたかったと思うのです。
社会に出て自立的に生きるためには主体的な選択決定が必要であると思いますし、実際に自分の意思で選択決定するためには『自己』の「興味・関心」「得意・不得意」「意義を感じること」などを知っていることが手がかりとなると考えています。しかし、現状、子どもたちの育つ過程は、ついつい周囲の大人が指示やアドバイスなどをして、選択「させている」のではないでしょうか。そして、就職活動については、本人の意思で「決める」ではなく「決めさせる」という矛盾が起きているようにも思います。
自分の進む道を自分で選び取る。言うは易しですが、ある日急にできるようになっているわけではありません。来るべき日に向けて、自己の内側を探索し表出するという経験を、日々少しずつ重ねていくことが大切だと子どもたちに伝えたい。そして、そのための経験をキャリア教育の授業として行なっています。
その授業を通して、子どもたちの心を耕し、夢のタネを蒔く…それはすぐには芽吹かないかもしれません。
しかし、何年かかっても、いつか芽を出し、若葉となり、花開くことを信じていたいと思っています。