結婚がゴールだったエミコ

結婚と、家族と、子供のこと。他にも、日々の生活のこと、明治大正昭和のこと、本の感想など。会社員しながら子育てしてます。もぐら会。

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最近の記事

6月30日 99.9パーセントうれしい

上の子と一緒にいると、ああこれを書き留めておきたいと思って、翌日には忘れてしまっている、ということが多い。昨日も、あの、交差点の前に小さな広場で、遠くをガタゴト走る私鉄を見ながらこの会話を覚えておこうと決めたのに、なんのことだったか忘れてしまった。 今朝も、下の子を抱っこ紐に入れて、手をつなぎながら歩く。唐突に、あのね、保育園のAくんによく押されたり乗っかられたりするんだよ、としかめつらで言いはじめる。Aくんと子のやり取りはよく見かけているので、「それ、いやなの?うれしいの?

    • 6月16日金曜日 世界でいちばんかわいい

      下の子が昼寝しているあいだにやらなきゃいけないことがたくさんあるんだけど、どうしても少し横にならないと動けない。そのあいだに子が起きてしまうこともあって、がーん、なにもできなかった、となる。いつもそんな感じだから、せめて横になりながら出来ることをしようと思って、ものすごく久しぶりに日記を書く。 下の子が生まれて半年が経った。早い。上の子が生まれたときは、一日一日が途方もなく長くて、諸先輩方から「赤ちゃんの時期なんてあっという間よ~」と言われるたびに苛立ち、「私はこんなに一日

      • 「泣いたらいいよ」と言われたくないあなたへ ―紫原明子さん「大人だって、泣いたらいいよ 」のすすめ

        「泣いたらいいよ」と言われたら、「いや別に泣かないし」と反射的に身構える。そんなあなたに、この本を届けたい。 私はこれまで、「つらいときは泣いてもいいんだよ」などというセリフに、細心の注意を払いながら生きてきた。そこでうっかり涙の一粒でもこぼして、「少しはスッキリした?」などと得意げに言われようものなら、悔しくて夜も眠れない。 だって、泣くくらいで、スッキリするわけないじゃないか。目から水分がこぼれようがこぼれまいが、私の悩みの質量は変わらない。誰とも分かち合えるものじゃな

        • 一人の参加者から見た「東京の生活史」プロジェクトの凄み

          一人一人の人間に、生まれた場所があって、生きてきた時間があって、かなしみやたのしみがある。そういう当たり前のことを、私たちはいつも簡単に忘れてしまう。 先日紀伊國屋じんぶん大賞を受賞した「東京の生活史」。今をときめく岸政彦さんが指揮をとって、150人の聞き手が、150人の語り手に聞き取りをした、壮大な一冊だ。 去年の6月、その聞き手を公募すると知って、胸を高鳴らせたことをよく覚えている。それから、運良く聞き手として参加させていただけることになって、岸先生による数回の説明会

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        • 子どもとの生活
          2本
        • 読書
          13本
        • 普通の日記
          21本
        • 婚活嫌いの私が結婚に至るまでのあれこれ
          5本
        • 明治・大正・昭和の私たち
          7本
        • 通勤日記
          4本

        記事

          できるだけ何も感じない / コロナ禍の日常

          朝の6時15分。遮光カーテンの隙間から日差しが漏れて、息子の頬を細く照らしている。スマートフォンを構え、息をひそめて、寝顔を写真におさめた。シャッター音で目を覚まさなかったことを確認して、足元にぐちゃっと丸まったタオルケットを手繰り寄せ、二度寝の態勢に入った。 本当ならいまごろ、旅行の最終日だったね。朝ごはんを食べながら、夫が言った。そういえばそうだった。この週末は、長らく会えていない親戚と、北陸旅行に行く予定だったのだ。しかし直前になって、感染拡大のスピードがみるみる加速

          できるだけ何も感じない / コロナ禍の日常

          二人きりの車内で語られた、ストーリーになりきれない人生の断片

          生まれてこのかた、居酒屋で偶然隣り合った人と盛り上がった経験がない。できればこのまま経験せずに一生を終えたいと思う。 親しくない人と言葉を交わすのは重労働だ。それが会社の飲み会であれ、親しげな店員さんとの数往復であれ、何を言うのが正解なのかよくわからず、過度にぺらぺら口が滑っては勝手に疲れてしまう。ささやかな緊張と、変な興奮がずっと続く。 だからコロナ禍になって、人から突然話しかけられる機会が減って、ずいぶん快適になった。最近は、「この人と会いたい」というモチベーションを

          二人きりの車内で語られた、ストーリーになりきれない人生の断片

          所属コミュニティにEXILEメンバーが入ってきたらどうしよう

          その知らせは突然やってきた。 一応断っておくと、もぐら会は、ダンススクールではない。エッセイストの紫原明子さんが主催している、「他者と対話しながら自分で自分を見つめる」コミュニティだ。 もぐら会には、いつも穏やかで円環的な時間が流れている。コミュニティ内のスレッドに、布団の中から「起きた」と三文字書き込めば、ただちに「えらい」「とてもえらい」「とてもとてもえらい」というスタンプが返ってくる。きわめてやさしい世界。 しかし、そんなもぐら会にも、2019年に発足してからいく

          所属コミュニティにEXILEメンバーが入ってきたらどうしよう

          書籍 「インターネットの外側で拾いあつめた言葉たち」 の販売を開始しました

          編集長をつとめた本が、予約開始になりました! 「2000年から2020年まで、どんな人生を送ってきましたか?」というインタビューが詰まった一冊です。 落ち着かない日々が続きますが、確かに歩んできたこれまでの時間を、共に振り返ってみませんか。 私の書かせてもらった序章を公開しています!こんな目的で制作した本です。 「もぐら本2」の序章を公開〜この1年で失われた言葉を取り戻す試み〜 インターネット販売開始します。『もぐらの鉱物採集2 インターネットの外側で拾いあつめた言葉

          書籍 「インターネットの外側で拾いあつめた言葉たち」 の販売を開始しました

          2021.5.2 東京か、神奈川か、それが問題だ

          GWに映画館もショッピングモールも休業ってマジですか…と覚悟していたんですが、20時過ぎても普通にオープンしています。いちいち驚いてしまう。そして思い出す。私が住んでいるのは東京じゃない、神奈川だったんだと。 不思議ですよね。普段、あっちは東京だとか、こっちは神奈川だとか、いちいち意識することなんてめったにないのに。いまごろ武蔵小杉とか川崎とか、あるいは舞浜とか浦安とかには、都民が移動したりしているのでしょうか。あと浦和とか大宮とか…?赤羽…? 今回の緊急事態宣言の措置に

          2021.5.2 東京か、神奈川か、それが問題だ

          だじゃれを言えるあの子がうらやましかった

          息子がハマっている絵本。 「だじゃれすいぞくかん」と「だじゃれオリンピック」。 びっくりするほど笑う。 「おちてもへいきんだい!」 よほど気に入ったのか、1日に10回くらい繰り返している。彼は平均台遊びが大好きなのだ。 「おさきマっグロ」 保育園の行き帰り、道行くひとに大きな声で言うので不安になる。おさきマっグロ!おさきマっグロ!あははは!とか言う。 「カレーっ!」 このページを見ながら、息子とふたりで「カレーはカレー!」「ほんとカレー!」「すごくカレー!」と

          だじゃれを言えるあの子がうらやましかった

          一人ひとりの「合理性」を理解する――「地元を生きる 沖縄的共同性の社会学」を読む

          待望の本が出たぞと手に取ったはいいけれど、予想以上に分厚くて重たくて、今はちょっと…と本棚に押し込んだ。 週末、改めて手に取って、ページをめくってみる。第一章で数字やグラフが並んでいるのを素通りし、さらに進むと、打越正行さんの著書「ヤンキーと地元」に登場した名前をいくつも発見した。 それは、30代になっても、地元の建設会社で働き、何人もの先輩に深夜呼び出され、送迎をさせられる毎日を送る男性の生活史。共同体から排除され、また共同体に拘束される人たちと、著者自身が何年も生活を

          一人ひとりの「合理性」を理解する――「地元を生きる 沖縄的共同性の社会学」を読む

          いじわるな子は嫌いなままでいいのかも ――「となりのせきのますだくん」を読む

          もし、自分の子供が小学校に入って、「となりのせきのますだくんがいじわるしてくるの」と言ったら。私はなんて答えるんだろうか。 そのくらい放っておけばいいのよ? 先生に相談してみたら? 無視すればいいじゃない? 仕返ししちゃえ?  数十年ぶりに「となりのせきのますだくん」の表紙を見た。強烈な懐かしさを覚えるとともに、どういうストーリーだっけ、と頭をひねった。 とにかく、ますだくんがいじわるだということは覚えている。机の真ん中に線を引いて、消しゴムのカスがますだくん側にはみだ

          いじわるな子は嫌いなままでいいのかも ――「となりのせきのますだくん」を読む

          男性の育休は「伝染」する――光文社新書 「家族の幸せ」の経済学 を読む

          1歳から保育園に預けるなんてかわいそう。 数年前、そんなお決まりの台詞を言われたことがある。 しかし、私は何とも思わなかった。というよりも、未だにそんな台詞が生きていることに驚いた。 私の周りでは、子供を0歳や1歳で預けるのが主流だったので、どう頑張っても子供たちをかわいそうだと思えなかったのだ。 もし私が、10年前に子育てをしていたら。20年前だったら。心がチクリと痛んだのだろうか。 私がここにたどり着くまで、一体どれだけの親たちが、「小さい頃から保育園に入れるな

          男性の育休は「伝染」する――光文社新書 「家族の幸せ」の経済学 を読む

          みんな結婚ごっこなのかもしれない ――能町みね子さん「結婚の奴」を読む

          自分の中にある願望を認めて、ひとつずつ果たしてみる。こんなシンプルなことが、なかなかできない。 この一年ほど、能町みね子さんの「結婚の奴」が好きで好きで、何度も読み返している。誰かと結婚をしてみるという、静かで壮大な試みの一部始終。 そもそも、他人と恋愛をして共同生活を営むというのが、ものすごくハードルの高いことなのだ。それなのに私たちは、結婚というワードを使って、それが自然発生する出来事かのように思い込もうとしている。 しかし残念ながら、結婚は自然に発生しない。そして

          みんな結婚ごっこなのかもしれない ――能町みね子さん「結婚の奴」を読む

          今年はみんな頑張ったよね

          今年あと2ヶ月切ったよ?やばくない? 今年やるはずだった仕事、全然終わってないんだけど。 一人で焦っていたら、いやいや今年はみんな頑張ったじゃん、それでいいよ、と夫に言われた。 いいこと言う。そうだ、今年はみんな本当に頑張った。それでいいのかもしれない。 気がつけば、5月末の緊急事態宣言の解除から、もう半年が経とうとしている。 それでもまだ、先の見えない緊張感がうっすら現在進行形で続いていて、そろそろ今年を振り返ろうかねえ、というモードにはなりきれない。 しかし、今

          今年はみんな頑張ったよね

          婚活のつもりが浄水器を売りこまれた、あの夏のはなし

          25歳の夏が終わるころ、私は渋谷駅からほど近い半地下の喫茶店で、同世代の男の子から高額な浄水器の説明を受けていました。 この浄水器で、内側も外側もきれいになって、本当の自信を持ちましょう。エミコさんにぜひ試してみてほしいんです。ああ、結婚というゴールに向けて邁進するはずだったのに。なぜこうなる。 突然ですがみなさん、何回くらい、高額な健康食品や浄水器の勧誘を受けたことがありますか?1回?3回?10回くらいはある?日本中の人たちに統計取ったら、平均何回くらいになるんだろう。

          婚活のつもりが浄水器を売りこまれた、あの夏のはなし