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2022年に遊んだビデオゲーム10作振り返り

サムネイル:ディスコ・エリジウム ザ・ファイナルカットのプレイ画面より。

RTA in JAPAN Winter 2022を見ながら書いています。
DJ_emです。

2022年最後ぐらいは何か書くか〜〜〜〜と思い、久々の投稿です。

2020年以降、コロナの第n波に翻弄され、なかなかクラブもイベントもいけねーしなーーーークソがよ〜〜〜〜とゲーム熱がアッツアツになっており、手当たり次第プレイする日々でした。
2022年は外出もするようになりましたが、一方でゲームは大豊作といって差し支えないレベルで、良い作品との出会いばかりだったのも事実です。

この記事では、クリアしたもの(100%ではなくストーリークリアレベルも含む)に限定して、今年買った・やったゲームを振り返っています。

一部の作品はこれだけで1本感想記事書きたいなーとメモしていたものの、よくある先延ばしで公開に至らず。
ここで、一気に吐き出しておこうという算段です。

作品はAtoZ順(遊んだハード)で紹介します。また、プレイ当時のツイートも埋め込みました。Steam版とコンシューマ版があるものは、それぞれのストアページリンクを貼っています。

ディスコ・エリジウム ザ・ファイナルカット(PS4)

好きな人格は「概念化」と「内陸帝国」です。よろしくお願いします。

今年やったゲームで、というか今年読んだテキスト群の中でぶっちぎりに重厚な体験でした。ゲームでマジックリアリズムって表現できるんだ、という驚き。

この作品は翻訳の難易度が高すぎることと、自由なロールプレイングができるという2つの話題から気になっていた作品で、先に翻訳関連の話題から感想、見聞きしたことを書きます。

まず、日本語版のゲームテキストを読んでみると、語感としてフランス、イタリア、ドイツ、スペインを彷彿とさせる造語や固有名詞が多い。それを英語から日本語に直しているわけで、ローカライズは本当に本当に本当に大変だったと思います。100万ワードって、日本語にした小説への換算だと何ページ分になるんだろう?

ディスコ・エリジウム ザ・ファイナルカットの翻訳(追記:翻訳監修とのこと)をされた方のYouTube解説があり、べらぼうに面白いので全員観てください。十三騎兵防衛圏がSFの賞獲ったように、ビデオゲームのアワードだけでなく文学作品としても翻訳賞枠として評価されて欲しい作品です。

英語からフランス語、ロシア語など別言語に翻訳したプロジェクトの人もすごい大変だった模様。

次に、ロールプレイングゲームとして、その作品が好きになるかそうでもないかを判定する個人的基準として欠かせない、「世界観設定の細やかさ・没入感の演出」について少し書きます。

ゲーム内に創造された世界はすごく広いのに、すごく狭い場所が舞台という、ミクロとマクロを行ったりきたりする感覚がとてもよかったです。時空間の意味でも数千年という膨大な時間の積み重ねがある歴史を持つ世界なのに、たった1週間の事件搜索が本題、という対比に痺れました。

主人公にとってはひどく重大で苦しい過去も、誰かにとってはよくあるトラブルに過ぎないし、街を揺るがす大事件であっても、長い歴史という巨人から見ればひとひらの花びらに過ぎない儚さも好き。

各種メディアのレビューも、ことごとくこのゲームの世界観に引きずられていて、テキスト自体がゲームの舞台であるレヴァショールに住む人々が語るお話みたいなことになっていて楽しい。

また、doope!というメディアの特集コラム(第10回まである)がすごすぎて、遊ぶ前に読んでもOKだし遊んでから読んでも作品の解像度が俄然高まります。

当時プレイしてたときのツイートは以下:

​​そのほか、ココが私に刺さったぜ!ポイントを挙げていきます。

・ディスコは現実の70〜80年代ディスコというより、1920〜1930年代のディスコティーク、アール・デコ、ジャズ・エイジのニュアンスも多く含まれていると感じました。ブギウギは70年代ディスコですが。

・「建築にゴールドとシャンパン色を用いる新近代スタイル」は、モロにアール・デコ。とある人物の言う「乗り遅れた」とは、まさしくレヴァショールが遭遇した「狂騒の時代」へのグルーヴに乗り遅れたことを指すと思われます。

・フレーバーテキストが多いほど、別にクリアに関係ないアイテムがあるほどテンション上がる身なので、本やボドゲ、絵葉書集めはとても楽しかった。アイテムを調べることで進むタスクがあるのも、この世界にプレイヤーが居るという没入感を高めてくれて好き。

・とあるタスクに出てくるキャラクターが、ハードコア、ガバ、ゴスなどもろもろ引っくるめてレイヴカルチャーしてるのもポイント高い。

一方、ゲームBGMは静かなアンビエントが主体で、クラブミュージックに近づくタスクでのBGMもそんなに激しくなく、音楽的なグルーヴの強さはありません。パーティー明けの虚無時間を彷徨うような、諦念に満たされたプレイフィールだったところもこの作品の素晴らしい魅力だと思います。

コンシューマ機でやるには操作性が悪すぎること以外、文句なしに極上と言える世界観密度MAXのゲームでした。

The HEX(Steam)

これをやるためだけに、今年やっとSteamアカウントを作りました。
2021年にInscryptionが話題となっており、なんだこの不穏な作品は!?といろいろ周辺情報を調べ、ネタバレをかいくぐっていた時期がありました。

最初にThe HEXを遊んだ理由は、Inscryptionがまだコンシューマ展開前の時期に、どーしても何かDaniel Mullinsの作ったゲームやりて〜〜!でもMacだからPony Islandやれね〜〜〜!という条件だったからです。

結論、まじでやってよかった。日本語対応前にDeepLでテキスト手打ちしまくって文脈理解に励んだのも良い思い出。
今は日本語に対応したので、この機会にもう一度やりたい。

一部ステージがマウス必須でえげつないほどのグルグル操作を要求されるのですが、そこがしんどい以外は「ゲームとしては」簡単です。

その一方、ゲームを取り巻く文脈の盛り込み方が凄すぎる。ゲーム開発・販売・コミュニティ・プレイヤーらのポジティブな側面よりも、悪意を切り取って表現するバリエーションがすごい。ラストに参照されたゲームが、Fallout76にも出てきたアレで声が出た。

ゲームで遊んでいる人、しかもちょっとお行儀悪いと言われるような遊び方してる人ほど、「なんか・・・すまんかった・・・」という気持ちになるであろう、メタ要素全部盛りゲームです。

これ以降、Daniel Mullinsのゲームは今後出たもの全部遊ぶと覚悟を決めました。そして次項のInscryptionに繋がります。

Inscryption(PS4)

RTA in JAPAN Winter 2022でも12/30にこの作品を走られる人がいるので、すごく楽しみです(見ました)。

10年に一度クラスの、「ゲームでぶっ飛ばされる」体験ができたゲーム。5000兆点。

ハマりすぎて2週やってから、作品の時系列考察マップを書いたものの、完璧なネタバレなので何も公開できません。クリア済の方、ぜひお話しましょう。

この作品については、あまりにも感想がありすぎて、だけどネタバレになってしまうので、遊んでたときのツイートをぶら下げて終わりにします。

要約:私の中で、Inscyptionはめちゃくちゃ遊べるアートだった。

フリーのアセットとか、アトリビューション表示で自由に使えるマテリアルをふんだんに使ったゲームなのに、トンマナが完全に彼の作品になってるところもすごい。クリエイティブ・コモンズ的な素材のリミックスによる、個性豊かな作品創造のあるべき姿を見た感があります。

ネタバレを含みますが、以下の記事でInscryptionにおける開発裏話や試行錯誤が伺えます。ここでも、フリーのアセットを使ったシェーディングの話とかが出てきます。

この作品、音楽も凄く好きなんですよね。act1のボス戦曲は、いずれDJでも使いたい荘厳なテイストで素晴らしい。サントラ買いました。

Inscyptionの考察や暗号解読に関する話題についても、非常に充実した記事を書かれている人たちがおり読み応えがあります。
2023/1/7追記:考察、RTA解説、攻略Wikiなどのリンク貼ります。くれぐれも未プレイの方は踏まないように。


星のカービィ ディスカバリー(Switch)

好きなほおばりヘンケイは自販機の「うりきれ(弾切れ)」です。

SFCスパデラ以来、星のカービィをちゃんとやりました。一応ワドルディ回収は100%、あとはアルティメットZの裏ボスを倒すところ+裏ステージのソウル回収を途中までやってて、他のゲームに手を出してしまったので9X%ぐらいの達成率です。

とにかくカービィが可愛くて楽しかった。釣りミニゲームをしてるときに、ついウトウトうたたねするカービィちゃん・・・かわいい・・・。

コピーが進化式なので実質的な種類が少ないことがちょっと残念でしたが、これが初の3Dアクション化であると考えると、次回作以降も楽しみ!

LIVE A LIVE(Switch)

好きな主人公はキューブ、好きな章は近未来編です。

これもやってよかった作品でした。MOTHER2、クロノ・トリガー、マリオRPGとSFCの名作RPGは一通り遊んでいたものの、この作品については名前しか知らん・・・でも、友人知人は口を揃えて名作と言ってる・・・でもバーチャルコンソールで遊べる環境じゃないよ・・・という状況だったので、リメイクを出してくれて感謝。

SFC版を全く知らなかったので、HD-2Dのグラフィックや声については「そういうリメイク」として違和感なく、とても好意的に受け止めている立場です。西部編の古川登志夫、幕末編の若本規夫、隠れ枠の杉田智和など、声優陣の反則級キャスティングが楽しかった。

当時のプレイ感想ツイート抜粋;
ライブアライブのバトルシステムを理解するまでに時間がかかった。

RPGのフォーマットでRPGではないことをやらせまくる設計も面白かった。

キューブかわいいよキューブ。ラストダンジョンもキューブで行きました。

当然のごとく、GO!GO!ブリキ大王!!のテーマ曲とMEGALOMANIAを買いました。


Moncage -箱庭ノ夢-(Switch)

Hello!インディー!(Switchで配信されるインディーゲーム特集企画)を見てて、なんとなく気になって買ったらよかったゲーム。

一部のギミックは「わかるかー!」となる理不尽要素はありますが、だいたいは箱庭であるキューブの側面を一つ一つ観察して考えればクリアできると思います。
ヒントの出し方、動画での説明も丁寧で、自力で考えるのは詰んでしまってもストーリーを楽しめる設計なのは嬉しい。

2週目でストーリー構造がわかったときは、不覚にもちょっと泣いてしまった。頭を悩ませるパズルというより、パズル化した””親子””の記憶と絆を紐解くゲームだと思います。

NEEDY GIRL OVERDOSE(Steam / Switch)

70万本突破おめでとうございます。
noteでもコラムを書かれているにゃるら氏による、「インターネット」全開の動画配信者育成(?)ADV・・・10000000000点!!!

JINE(LINE)のやりとりなど、「あめちゃん」と「超天ちゃん」の言動があまりにもめんどくさくて、かわいくて、頭がよくて、インターネット老人会で、細部までこだわり抜かれた世界観に引き込まれ、全トロフィー解除しました(アプデ前の話)。

出会い系アプリあり、匿名掲示板あり、向精神薬ありとアングラな側面も豊富なこの作品ですが、個人的には「まほうのけむり」と「まほうのきって」というサイケデリクス寄りなセレクトがよかったです。そうだね、インターネットもサイケデリクスだね。

Aiobahn氏によるチップチューンなBGMも秀逸で、この曲調だからこそ飽きずに周回、全エンドを駆け抜けることができました。テーマ曲+MVの登場タイミングがすごすぎて、盛大に笑った。Switch特典のサントラもゲットしました。

この作品の良さはゲーム外にもあると思っており、マーケティング+コンテンツ戦略がうまく、超天ちゃんに関する供給が多いところも素敵だと思います。

例えば。
Twitter:ゲーム中のTwitterと同じような運用で、プレイヤー側もゲーム中のテキストをネットミームとして楽しめる環境ができている(裏垢までしっかりある)。

YouTube:ゲーム中の配信パートと同じ画面で、各種新情報をお届け。

Instagram:これはゲーム中に出てこなかったけど、次々と新規グラフィックが出てきて供給がすごい。Liminal Spaceネタもバッチリ追従しており、インターネット。

みんなも超天ちゃんを好きになりましょう。
†昇天†

Return Of the Obradinn(PS4)

面白いと聞いていたので、2021年秋に買って2022年頭にクリア。
ネタバレは一切見ずにやったほうが楽しいだろうと思い、スプレッドシートを作って60人中50人ぐらいは自力で船員と客人の死因や行方を推理しました。

ただ、一部に推理ではどうにも当てることのできない理不尽メンバーがいること、やや不親切なUIではあり、誰にでもおすすめはちょっと難しい。観察・推理・考察が好きな方には大変おすすめです。

IBMとかMacintoshとか、古いPCグラフィック切り替えができる「かつてのアドベンチャーゲームへの情景とリスペクト」を詰め込んだ描写と、記憶の残滓を空間ごと追体験できる不思議な懐中時計を使うゲームギミックが楽しかった。

日本語ローカライズも非常に丁寧で、Undertaleも手がけたハチノヨンというか福市恵子氏、まじですげえ・・・と感嘆しました。
ローカライズに関する対談記事を置いておきます:

このゲームは、上質な怪奇小説とも言える雰囲気も、大きな魅力だと考えています。主人公が持ってる手帳や地図、そのフォントとか見てるだけでテンション上がるクラシカルさがある。

恥ずかしながら、私自身は船舶や航海史に疎く、このゲームを起点に大航海時代〜19世紀イギリスを中心とした船舶構造、船員の階級、雇われた水夫の劣悪な環境、人員構成、当時イギリスと関わりのあった国などを調べることができたのも良い経験。調べたことがきちんとゲーム内の回答に結びつくところも好きです(一部完全にオカルトですが)。

当時のツイート:

残り数名の安否がほんとにわかんねーとなったとき、この攻略サイトwikiに助けられました。

Lucas Pope氏の前作として、さっき(2022/12/29)Papers, Pleaseも遊び始めました。

Steamには無料で見られる10分程度の上質な公式ショート映画もあります。

「そういう陰鬱でクラシカルな世界観、好きですね〜〜〜」と感じた方は、ぜひReturn Of the ObradinnもPapers, Pleaseもやりましょう。

Slay the Spire(PS4)

好きな主人公はディフェクトです。

「最初は」PSフリープレイで遊びました。真面目な話、触ったことを後悔するほど時間を溶かしていることに気づき、同時にこんな面白いゲームを遊べてよかったと感謝すらしています。

アクション要素はなく、ひたすらに考えて考えて、アイテムとカードの引き運に支配されるデッキ構築ローグライクゲームなのですが、とにかく難しい・・・捨てることが苦手なので、これをさくさくクリアできている頃には断捨離もうまくなってるかもしれない。

真ボスまで行けてないので厳密なクリアと言えないのですが、基礎は踏破できたのでここから先はSteamでしゃぶり尽くす意気込みとして記します。
2023/1/7追記:Steam版で3人主人公で3層クリアは何度かできるようになっており、今は心臓攻略をがんばっています。心臓まじ強い・・・

一応主人公3人でダンジョンの基礎はクリアしたよ、というエビデンスを残します;

サイレントでやると3層ボスが誰かでお祈りゲーになってしまう;

アイアンクラッドはハイリスクハイリターンな脳筋デッキを要求されるので、低コストでデッキ回転するのが好きな私には難しいキャラ;

*4人目のウォッチャーはデイリーの特殊ルールでならクリアできた。「スタンス」の活用が難しすぎる。

こちらのサイトが、カードの特徴を把握したり主人公ごとの戦略を練るのに大変ありがたかったです。

レリックや敵ごとの特徴はWikiがありがたかった。

Superliminal(Switch)

アシッド!!!
「クリックでつかむことが可能なオブジェクトは、今プレイヤーが見てる大きさ通りに巨大化したり縮んだり(+αの挙動)するので、それを活用する錯視パズル」です。

映画「インセプション」かよと言いたくなるステージもあり、無限ループ的な醒めない夢の恐怖を実感できました。途中の某ステージは初見時、ほんとうにこわかった。

ゲーム内で何度も言及される「​​Perception is reality(認識 / 知覚 は現実)」の通り、「そうであるんならそうなんでしょう、(君の夢の中では)」と思わせる作り方が秀逸なゲームだと思います。

個人的に評価したいポイントは、プレイフィールの変遷がジェットコースター的な期待感〜恐怖〜安堵の感情曲線をしっかり描いている点。

感情曲線の流れとしては、
ステージ1〜3「なにこれ変なギミック!面白い!」
→ステージ4「え、なにちょっと怖い」
→ステージ5〜6「このまま進んで大丈夫なの?」
→ステージ7「見たことある場面、え〜、今までのギミックじゃないやつ!?」
→ステージ8「やばい、もうこの夢から抜け出せない」
→ステージ9「このまま信じて進んでみよう」
→ステージ10「がんばって進んで良かった、安堵した」
というもの。

このゲームのホラー要素とは、プレイヤー自身の思い込みが作り出す「怖い」という感情そのものであると私は思います。プレイヤーが「怖い」と知覚した時から、そのすぐ先のステージについて「さらなる不安」を無意識に重ねていく感じ。

加えて、「こわい音楽」=「ホラーやスリラーの音楽」ではない点も素晴らしい。イージーリスニングってこんなに恐怖を感じさせることが可能な音楽なのかとビックリしました。キレイなホテルやプールから抜け出せない悪夢を表現するのに、ゆったりした上品な音楽がこんなにマッチするとは。

そうした、「思い込みが作る怖さ」「そこを抜けた安堵感」込みでのサイケデリクス的な知覚変容が本作品の魅力と言えます。

お前が世界のオブジェクトすべてになるんだよ!ゲームのEverything、転がしゲーの塊魂、この記事でも挙げたMoncage -箱庭ノ夢-にも通じるような、ゲームでサイケデリクスを体感できる作品としておすすめです。


来年もOMORIとかStarfieldとかやりたいゲームがたくさんあるので、また振り返りができたら(覚えてたら)来年も記事を書こうと思います。
ご覧いただき、誠にありがとうございました。

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