【米国市況】株式市場の底入れを見抜く3つの指標
1.VIXが40を超える
最初に簡単にVIX(恐怖指数)について説明します。
Volatility Index または、VIXは株式市場の先行きに対する投資家の心理状態を表す指数。米国株価指数S&P500を元に算出・発表している数値で市場が今後30日でどのような変動を見込んでいるのかを指標で示している。
VIX指数が高い時は市場が不安定な状況で株価が激しく変動する。また、0~100までの数字で表されて、基本的に10~40の範囲で変動する。
7月14日(アメリカ時間)時点ではVIXが「26」である。2020年3月のコロナ初期発症時のVIXは「66」。2008年のリーマンショック時は「72」を超えた。
2022年に入ってからはだいたい20~35の範囲で安定している。ただ「40」という指標で市場はパニック状態に陥る。もちろんVIXが「45」や「50」を超える可能性もなくはないが、「40」という1つの壁を越えれば底入れは間近かもしれない。
2.2年国債の実質利回りが-1.5%以上に改善される
正確に言うと「米国2年国債利回り」-「CPI(消費者物価指数)」の率が-1.5%以上に改善されると底入れの可能性が高い。
CPIを2年国債利回りから引く理由はその時のインフレを考慮して、実際の利回りを確認するためです。利回りに対して、インフレが少ないほど差分がプラスに近づきます。これによって2年国債の実質利回りが分かるようになる。
セントルイス連銀サイトにて自分自身でデータを抽出したが、過去約40年間、安定している範囲は-1.5%前後である。-1.5%を下回った場合、市場は基本的に乱れる。
実質の利回りがマイナスの時にFederal Reserveはこれまで金融政策の引き締まりを止めたことがない。つまり実質利回り(差分)が-1.5%以上に改善されないと底入れは程遠いでしょう。
補足ですが、もちろん手動で2年国債利回りとCPIの差分を引いたほうがもっと正確な実質利回りは出せるのだが、私は5年間のトレンドが見たいのでセントルイス連銀サイトを利用しています。
3.10年国債の利回りが上がる
直近の米国10年国債の利回りをみると2018年12月のレベルまで上がって戻っているが、まだまだ低い。
10年国債の利回りが上がれば上がるほどFederal Reserveの保有資産の縮小(量的引き締め)が継続される。
逆に下がれば下がるほど量的緩和が発動される。10年国債の利回りが下がることで一般的にローン利率も下がる。低ローン利率だと住宅が購入しやすくなる。
市場を大きく影響している不動産業界が盛り上がれば、インフレ問題も撃沈することも難しくなる。なので、今の物価高騰時期には10年国債の利回りが上がるのが望ましい、つまり量的引き締めでインフレをできるだけ早く抑制したい。
最後に
止められないインフレ問題でFederal Reserveは積極的な金融政策の利上げを実行するでしょう。6月CPIに関する記事では1%の利上げの可能性について話しましたが、大幅利上げによって上記3つの指標は動き出すでしょう。
次回のFOMCは7月26・27日でその次は9月20・21日である。利上げ実行後はすぐに結果が出ないため、早くて8月分(9月発表)のCPIを待つしかない。
そのため株式市場の底入れはしばらく遠いが、今からこの3つの指標を細かくチェックしていけば有利な株買いチャンスが分かるかもしれない。