【法務】×【地図GIS】 ~どんな事業?~

1.はじめに


私は、弁護士になる前、地図データやロケーションデータ等のGISコンテンツ(以下「地図コンテンツ」とします)を生業とする会社に勤務しておりました。

現在でも地図コンテンツ事業には関心があり、業界関係者や展示会で話を聞いたり、関連事業の相談を受けることもあります。

最近はメタバース、生成AI、自動運転等が話題になっておりますが、こうした最先端分野と切っても切り離せないのが地図コンテンツ事業であります。
官公庁関連でも、話題に事欠きません(2023年8月4日現在)。

2.地図・GIS ✖ 法律問題


私も弁護士として、もちろん地図コンテンツ事業で生じうる法律問題にも関心を抱いており、本ブログでも可能な範囲で情報発信をしたいと考えております。

地図コンテンツ事業では、特にデータ取扱いやソフトウェア開発といった伝統的なIT法務の問題にとどまらず、イラストとしての地図、各種データ(データベース)やソフトウェア等の利用条件、知的財産権(著作権等)、個人情報保護法、さらにはGIS関連の業法(測量法等)といった特有の問題も生じます。

また、地図データベース(DB)を含む各種コンテンツについては、①開発・整備→②提供→③利用といった場面において、提供者側/利用者側それぞれの立場で、異なる契約条件や法令の検討が必要になります。

今回は手始めとして、地図コンテンツ事業としてどんなものがあるか紹介したいと思います。
あくまで代表例ですが、それぞれのサービスで検討すべき問題も異なります(もちろん重複する論点もあります)。

3.地図コンテンツ事業の具体例

※なお、以下の「販売」という用語は一般用語として用いており、法律上所有権の移転を伴う「売買契約」ではなく、むしろ「利用許諾(ライセンシング)」のニュアンスで記載しております。

  • 地図データベース(DB)自体の開発、維持整備、販売

  • SaaS(API等)として地図DB内のコンテンツ配信

  • 地図アプリ開発ツール(SDK等)の販売

  • 地図DBを利用した事業

各種アプリ
(例:地図、ルート・経路探索、交通分析、天気、防災、ゲーム等)

具体例を挙げればキリがないですね・・・

ナビゲーション系サービス
(例:各種ナビ、動態管理、スマートファクトリー、MaaS、自動運転等)

「各種アプリ」と重複する部分はありますが・・・

位置データ、人流データ、プローブデータも活用した情報分析サービス
(例:混雑予測、商圏分析、変化予測、広告配信等)

  • 3D地図DB(モデル)の開発・維持整備、販売

走行画像データや点群データ等の取得

主体としては走行車両や歩行者等さまざまですが、後者はLiDARやスキャナー等を用います

メタバース上のコンテンツ(デジタルツイン)の生成、提供

  • 3D地図DB(モデル)を利用した事業

各種データをマッピングした情報解析
(例:人流や交通量等の分析、ヒートマップ、インフラ自体の再現、測位、再現モデルによる稼働状態、ボトルネック、強度等のモニタリング等)

メタバース上でデジタルツイン店舗を通じたアイテムを出品

  • 高精度地図DBの開発・維持整備・販売

対象は静的データ(高精度3Dマップ自体)であり、動的データ(車両、歩行者、信号、道路工事、気象に関するデータ等)は外部から調達

ロケーションデータの収集・整備・販売用のプラットフォーム構築

  • 高精度地図DBを利用した事業

自動運転【編集中】

  • 衛星データを用いた市街地・農地管理等の状況変化の分析

  • 住所正規化(クレンジング)関連

住所正規化コンバータの開発・販売

住所正規化コンバータを利用した事業
(例:郵送・配送先の確認、eKYC等)

4.まとめ

以上、地図コンテンツ事業の全てを網羅しているわけではないですが、皆様が興味をもった分野はあったりしますでしょうか。
今後も、地図・GIS×法務のシリーズを続けていければと考えております。

もしご質問、ご要望等がありましたら、私の「X」(旧「Twitter」)アカウントまで!

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