2018年に作ったカバー付き文庫やフルカラー本の装丁まとめ
前回・前々回に書いた装丁まとめ記事の続き、2018年に作った本についての装丁まとめです。
同人誌作りの同人誌
表紙:マットコート135kg
本文:上質90kg
ページ数:36p(フルカラー)
値段:800円
印刷所:グラフィック
表紙デザイン:レク
もとはnoteでの記事をきっかけに作った本です。
初めてのフルカラー本。なので、どのくらいの厚さの紙が適しているのかいまいちわからず、コート紙や上質紙というシンプルな紙を選びました。
たくさん刷っているわけではないのでオンデマンドでもよかったのですが、カラーコピーっぽい質感になってしまわないか不安だったので、印刷はオフセットです。
その甲斐あってか、印刷はとてもきれいです。
ただ、薄めの本であることを踏まえると表紙用紙はもう少し分厚い方がよかったかなと思います。
本文の印刷も思ったより沈みました。
雑誌のような本文を作るのも初めてで、何をどうしていいやら……という感じだったのですが、とにかくindesignでグリッドを引いてそこからはみ出さないように作りました。
もっと良い作り方はたぶんあると思うのですが、雑誌的なものの編集がさっぱりわからない人間でも一応見られるものは作れたのでindesignはすごい……!
光りの水
表紙:みすず紙流水並口+ホログラム箔
本文:淡クリームキンマリ70k
ページ数:234p
値段:1200円
印刷所:STARBOOKS
もともと電子書籍のみで出すつもりだった話ですが、8月にコミティアに出ることにしたので、この機会に紙本も作ることにしました。
電子書籍のみは手軽で、赤字にもなりにくいので、現実的にはそうするべきなんだろうなとも思うのですが、どうしても紙の本を作りたくなってしまいます。
ただ、とても少部数なのでカバーを諦めました……。
しかし結局、どうせ紙で作るならと思ってホログラム箔を使っていたりして、予算の概念は崩壊しています。結局赤字!!笑
せっかく「光り」というタイトルなので、その部分の文字と人物の目に用いました。銀箔押しよりもちょっと複雑で、でも上品な箔です。
STARBOOKSは箔の種類がたくさんあるので色々試したくなってしまいます。
ヒステリシス
カバー:コート紙135k+カレイド印刷
カバー下表紙用紙:色上質紙 最厚口135kg 白
ページ数:234p
値段:1300円
印刷所:BRO's
デザイン:welca
小学校の元生徒×彼に手を出したことがある元教師、というやや尖った設定であることも踏まえて、強めのデザインでお願いしました。
「変わることがない写真」が本文中でも大きなモチーフになっているので、カバーでも写真のような枠だったりで写真をフィーチャーして頂いています。
印刷はカレイド印刷でビビッドな黄色や紺を表現しました。
最初は蛍光色差し替えをする予定だったのですが、色々手間取ってしまって最終的にはカレイド印刷のみにしました。
今回、カバーがコート紙なのでPPをかけなくてもいいかな?と思ったのですが(今までもカバーにPPをかけなかった本は結構あるので)、やっぱり手に持ったときの感覚が全然違うので、紙の質感を生かしたいという場合以外はPPをかけたほうがよいなと思いました。
カバー下もモノクロで、ぱっきりとした印象です。
この夏が過ぎればきみは
カバー:コート紙135k+マットPP
カバー下表紙用紙:色上質紙 最厚口135kg 白
ページ数:202p
値段:1100円
印刷所:BRO's
デザイン:welca
カバー付きである以外はベーシックな装丁です。元々縦長のイラストを横向きにしてカバーに使用しているので、裏表紙にもがっつり絵が載っていて見応えがあります。
こちらの本は、本文執筆をイラスト依頼と同時に進めていたので、カバーにヒマワリを描いてもらうことが決定してから、本文最終章のタイトルをヒマワリにしました。
イラストによって中身も影響されるのが、イラストをお願いする醍醐味かなと思います。
一人で全部やれる同人誌だからこそ、色んな人の手を借りて影響を受けたい……!
おまけの帯作成
既刊が代わり映えしないので、内容がもっとわかりやすくなるよう、帯を作成してみました。イベント前の数時間で作ったのでデザインの工夫などはほとんどできなかったのですが、ちょっと雰囲気が変わって見えて面白かったです。
使用した紙はタントセレクトとトレーシングペーパーです。
それぞれA4を1枚に帯を3種類分ずつ並べて作成し、家のプリンタで印刷しました。
文庫はA4の紙で帯を作るとちょうどよく巻けます。
たまたま家にあった紙が上記のものだったので今回はそれで作りましたが、色々工夫しても面白そうです。
最初は試しにコピー用紙に刷ったのですが、どうしても安っぽいので絶対に紙は用意した方がいいと思いました。
そんなわけで2018年に作った本でした。(前回の記事に、3月の嘘とピグメントを入れているので、実際に2018年に作った本は5冊です)
2017年は二次創作の再録等もあったのでなぜか10冊作っていたので半減ですが……。
もともと「商業文庫よりも美しいものを作りたい」という気持ちがあってカバー付きにこだわっていたのですが、自由さが減るな、というのも感じています。
カバーの追加自体が高いオプションなので、他の要素を追加するのが難しいのです。
「光りの水」では久しぶりに箔押しをして楽しかったので、カバー付きにこだわらず、引き続きやりたい装丁をやっていこうと思っています。
紹介した本は下記の書店で取扱中です。
前回、前々回の装丁まとめ記事はこちら↓
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