同人誌を出すのは怖くないよ、という話
装丁関係のnoteを書いていて頂く感想を見て思うのは、「これから同人誌を出そうと思ってる」「いつかは同人誌を出したい」という人の多いことです。
私自身、最初はネット上だけで小説を書いていて、友人に誘われて初めてイベントに出れた小心者なので、なかなか一歩踏み出せない気持ちもわかります。
なんか需要とか色々考えないといけないっぽいし、そうじゃなかったら正気を失って両目をつむって出せとか、怖くないですか?
でも、両目を開けて、何が怖いのかを分析していけば、やらない理由がどんどん減っていくんじゃないかと思うのです。
なので、自分がかつてやらない理由として考えていた「怖いこと」を書き出してみました。
今はちょっと時期が悪いかもしれないけど、今のうちに準備して、落ち着いたらで!
一人参加は怖くない
同人イベントは、みんな誰かしら知り合いと楽しそうに話しているようなイメージがあります。サークルさんでも合同とか隣接とか売り子さんとか…。そんな知り合いいないし、と尻込みする気持ちもわかります。
でも、どのイベントでも一人参加のサークルさんはとても多いです。お客さんのいないときは普通に一人で絵を描いている人、携帯をいじっている人、様々です。
私も基本は一人参加ですし、お客さんが途切れたときはkindleで本を読んでいます。
赤字は怖くない
ジャンルにも依るので何とも言いがたいですが、通常〆切より遅い入稿になったり、装丁を凝ったものにしたりしなければ、本単体で見れば、黒字になる可能性は高いです。
試しに日光企画さんのオンデマのフルカラー表紙でA5の44pの本を30部刷ると仮定すると、値段は12,330円です。(クリアPPもついています)
これを500円で販売すると、すべてはければ500×30で15,000円です。2,670円の黒字です。1,2部はたぶん余部がつくので、自分の分は保持できると思います。
また、これは通常の〆切での場合ですので、早割で入稿すれば印刷費は20%オフの9,864円になり、5,136円の黒字になります。
もし仮に、仮にですが10冊程度しか売れなかったとしても、早割で入稿していたとしたら、赤字は4,864円です。このくらいなら、飲みに行ったとでも思えば飲み込める額ではないでしょうか。
ちなみに流行ジャンルの人気カプなら、考える必要さえありません。売れます。
読者は怖くない
手に取ってもらえるかな、と不安になることもあると思いますが、もしネット上で既に作品を公開していて、それを読んでくれている人が多少なりといるのであれば、本を読んでくれる人は必ずいます。
もちろん、ネット上のものは無料だから読まれるという側面もあります。私も、無料で公開している小説のpixivのブクマ数などは絶対にあてにしないようにしようと思っていました。
でも、普段から読んでくれている人は、本を出しても読んでくれることが多いです。すべてじゃなくても一定の割合ではいます。
需要というのは突然降って湧くわけではなく、あくまで日常の中で、たまに目に留めてくれる人がいて、まれに目に留め続けてくれている場合、それが需要になる、ということなのだと思います。
ちなみに、まったくネット上で小説を公開していない、という人はまず公開するところから始めて、本作りはその後にするのがオススメです…!流行ジャンルの人気カプなら気にしないで!
入稿は怖くない
最初は、印刷所なんて今までの人生で関わったことがないし、よくわからない、難しそう、そんなイメージでした。
今では作業にも慣れ、中身が全然違うzipファイルを入稿してしまったこともあります。笑えません。
ともあれ、印刷所も言ってしまえばひとつの企業です。入稿する人は、お金を払ってサービスを利用する側です。印刷所の中には人がいて、間違っていれば教えてくれます。わからなければわからないと言ってもよいと思います。なぜなら、お金を払う側だからです。(もちろんだからといって何でも言っていいわけではないです)
パソコンソフトは怖くない
photoshopもadobeもよくわからない……そんな気持ちもわかります。
でも、もし手持ちのパソコンにofficeが入っているのであればword、それと無料のペイントソフトであるGIMPなどで入稿データを作ることは可能です。
officeがなくとも、pixivプレミアムに入ればpixivの機能でpdf化もできます。既にpixivなどで作品を公開されている方は、いつだって本を出せる状態であると言っても過言ではありません。
まずはそれにちょっと書き下ろしをつけたウェブ再録本もいいと思います。ほぼ完成原稿が手元にあるので、早割に入れられるからハードルが下がります。
個人的にはスマホやipadだけというのは逆にハードルが高くなるのでパソコンがいいと思いますが、それらだけでも無理ではないとも思います。
原稿は怖くない
もしpixivなどで既に掲載している作品があるなら、それのウェブ再録でいいというのは既に書きました。
書きおろしをするにしても、いきなり20万字書こう、みたいな無茶なことをしなければ何とかなります。
目標までに何をすればいいかは、細かく割っていくと考えやすいです。もし6万字(A5で70ページ、文庫で140ページくらい?)の本を出そうと思ったとして、その半分は3万字で、更に半分は1万5千字です。
1万5千字なら、既に書いてpixiv等で公開したことがある、という人もいると思います。それを4回繰り返せばいいのです。あなたはすでに書けるし、書いているし、だからこそもう本を出せるのです。
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本を作るのはとても楽しいですが、別に特別なことでもないと思います。イベントはネット世界と断絶されたものではなく、普段のtwitterやpixivの世界と地続きです。
普段好きなもの、考えていること、書いていること、それをそのままで、形だけ整えてやればいいのです。特別なことを始めないといけないわけではないと思います。
なぜ、みんなこんなに「苦しい」と言いながら本を出しているのかと言えば、自分で創作をして物作りをするのが、とにかくめちゃくちゃ楽しいからです。まずは一冊目を!沼へようこそ!
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