アーティストinレジデンス:バイオ系研究者とのコラボ
2か月半のレジデンスから帰ってきてもう1週間以上経ってしまいました。
今回参加したレジデンスの趣旨はバイオ系研究者とのコラボ。コロナ禍ですが一応国際公募Open Callでした。
科学とアートのコラボレジデンスは今やたくさんありますが、ここのレジデンスは1回目ということで全く無名でした。私がこのレジデンスを知ったのもレジデンス側がインスタで私をフォローしたからでした(笑)応募手順はユニークで、まず応募時に研究者とその研究テーマのリストをもらって、そこから選んでアイディアを膨らませて企画書を書き、それが審査されるというものです。同時期に私を含め5人のアーティストが選ばれました。
開始早々それぞれが指定した各研究所のラボラトリーでのリサーチをして、それから2ヶ月かけて作品を作り展示という、てんこ盛りなプロジェクトです。
ちなみにレジデンスの場所はドイツのJenaという地方の小都市でギリギリ都市と言えないくらいでの田舎ですが、筑波研究開発都市みたいにいろんな研究機関が集まってる場所で、世界中からの研究者が移り住んでるので何げにインターナショナルな町です。
このレジデンスはなかなか濃い内容で、最後結構大規模な展示で締めくくるにしては、内容的にはリサーチが殆ど重要な位置を占めていて、私も他のアーティストも大量の新鮮なインプットを消化しきれないまま勢いで作った感があります。何せ、自分のよく知らない分野を知れるだけでも面白いのに、その分野の人がどう研究に取り組んでるかを間近で見れるし、ネットや本の情報では知り得ないもの、 実の入った知識に触れることが出来てアドレナリンでまくりになりました。
おかげでアーティストそれぞれがフレッシュでいい作品を作れたし、ずっと新鮮な気持ちで制作できたのは凄くよかったです。
私はなぜか菌培養のプロセスに心を惹かれ、他のアーティストよりかなり頻繁に研究所に通いリサーチだけでなくカビとバクテリアを使った作品を作りまくりました。応募時にはバイオアートを作るつもりは全くなかったし、バイオアートというもの自体知らなかったのに、今では俄然そっちの方向性に興味が向いて、またラボで作業したいなんて考えてます。そんな素敵な出会いと発見と次への発展があるのが分野やテーマが決まってるタイプのレジデンスの素晴らしいところです。
私はここ数年同じテーマでやっていて、このレジデンスは偶々テーマに見合うものだったのでラッキーでした。そういやその前のレジデンスもそうでした。私はコラボ側の素材で毎回テーマを変えるタイプではない(そんな器用な事できまへん)ですが、コラボによって自身のテーマを深化、発展させることができる喜びはなにものにも換え難いものだな、と改めて思いました。
応募で落ちまくったり人と比べたりで落ち込んだり自信喪失したりしますが、またこんな風な体験をしたくて、懲りずに日々応募しております。
次はopen call や応募について書こう思います。