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撮影ディレクションマニュアル|取材記事の写真の構図を大解説

「取材記事の撮影をカメラマンさんに頼んだけど、使える写真が少なかった…」

なんて経験をしている編集者・ディレクターさんもいるはず。

私はフリーランスの編集者として活動しているため、事例取材を含めたオフラインの取材にディレクターやインタビューアーとして同行する機会が多いです。

そんな折、あるライターさんに「取材撮影って何を気をつければいいですか?」と質問されたので、私がこれまで50件以上オフラインの取材に同席してきた中で培った「取材写真のイロハ」をすべて詰め込みました!

「インタビュー撮影のディレクションの方法がわからない…」
「カメラマンとして、インタビュー撮影に必要な構図が知りたい!」
「初めての撮影あり取材…なにを撮ればいいの?」

こんな悩みを持つ、ライターやディレクター、編集者、カメラマンさんのお役に立てれば幸いです。


取材における、ディレクター・編集者の役割とは?

ディレクターや編集者の仕事をしていると、取材の同席をする機会もあると思います。「ただの同行だから」と突っ立っているだけでは、存在意義はありません。

取材同行をするディレクターや編集者には、以下のような役割が求められます。

  • 取材の進行(挨拶や時間管理など)

  • カメラマンさんへの指示出し

  • 撮影された写真のチェック

  • 撮影環境の整備

また、同行するディレクターや編集者がいない場合は、取材をするライター自身がこのような取材・カメラディレクションをする必要があります。

【準備編】撮影環境を整えよう

インタビュー撮影において大切なのが、写真を撮る前の「撮影環境」。被写体(取材対象者)の座る位置や背景、机の上を整えるのもディレクター(orカメラマン)の仕事です。

座る位置

本来、来客側が上座(ドアから一番遠い席)となる場合も多いですが、上座が写真的にベストな位置とは限りません。

  • 逆光にならないか?(窓の反対側がベスト)

  • 顔に影ができないか?(光が強すぎたり、ライトの真下だと影ができることも)

  • 顔・人物が暗くならないか?

  • 複数人いる場合、画角に撮影対象者が入るか?(離れすぎない)

など、光の当たり方や、画角も考えて座る位置を決めます。(取材前にカメラマンさんにテスト撮影してもらうと◎)

背景

現像後に「あちゃ〜〜〜」となることが多いのが背景。背景がごちゃついていたり、汚かったり、はたまた思いっきり個人情報や他社のロゴが入っていたり……。

基本的に、背景は白や窓、なにもない壁にすることが望ましいです。

  • ごちゃごちゃさせない(エアコンやコート掛けなどにも注意)

  • ホワイトボードなどはきれいにしておく

  • 荷物があればよけておく

【NG例】背景がごちゃごちゃ&荷物が写っている、顔に影がかかっている

机の上

実は取材撮影の場合、机の上がよく写ります。ビジネス的には必要な名刺やペットボトル、PCも可能な限り映らないようにイスなどにおいておきましょう。レコーダーやスマホの位置にも注意が必要です。

  • 名刺

  • ペットボトル

  • PC(ないほうが良いが、必要な場合はあってOK)

  • スマホ

  • ライターのレコーダー

【NG例】名刺入れは片付ける、レコーダーは映らない位置にする

1.インタビューカット

準備が終わり、ここからは実際の撮影のカットについて解説します。ちなみにインタビューカットとは、取材対象者が話している写真。

インタビューカットを撮るときは、とにかく“バリエーション”を意識します。

角度と構図

一番大事なのは、とにかく写真の角度や構図のバリエーションを多く撮っておくこと。

なぜなら、同じ構図の写真が続くと単調な、変化のない印象を与えてしまい、どことなく“手抜き感”が出てしまうからです。極端に言うと「1つの記事内で同じ構図の写真は使えない」と覚えておきましょう。

取っておきたい角度は以下の通り。すべて撮らなくても良いですが、左右や構図のバリエーションは少なくとも5つ以上は撮っておくようにしましょう。(記事内では平均4〜5枚ほどの画像を使うため)

  • 斜めから×左右

  • 正面

  • 肩越し×左右

  • 手元

  • 真横×左右

オーソドックスな人物単体(斜め)
肩越し
肩越しアップ
手元も数枚とっておくとバリエーションが増えます◎
真横からの写真

遠近・人物の位置

遠近や人物の位置についても、バリエーションを持っておきましょう。

遠近

  • ヒキ

  • アップ:胸より上

ヒキ
アップ(少し余白があるとキリトリしやすい)

人物の位置

アイキャッチにする際、左右どちらかに文字入れをすることがあります。デザインに幅を持たせるために、人物の位置にもバリエーションを持たせておきましょう。

  • 画面の真ん中

  • 左寄せ

  • 右寄せ

画面の真ん中
左寄せ
右寄せ

2.表情・動作

次に大切なバリエーションが表情と動作。記事での写真入れでは、見出しの内容や前後の話者の話にあわせて、挿入する写真を決めます。前向きな話題では笑顔や明るい顔を、課題やシリアスな話題では真剣な顔……のような感じです。

そんなときに、表情のパターンがないと見出しの内容と写真に違和感が生まれてしまいます。

表情

表情は以下のバリエーションを意識して用意しておくと良いです。また、ビジネス系は真剣な表情を、キャリア系は微笑みを……のように、取材の内容に合わせて多めに用意する表情を撮っておくと良いです。

  • 真剣な表情

  • ほほえみ

  • 特大笑顔・談笑シーン

真剣な表情
ほほえみ
特大笑顔・談笑

動作

表情とともに、動作も大事なバリエーション。たとえば、ずっと手を膝に置いて真っ直ぐを見ている写真だけでは、どんなに構図にバリエーションを持たせても、単調な写真に見えてしまいます。

基本的に、被写体には手を机の上に出してもらい、手振り身振りをしやすいようにしておきましょう。

  • 説明しているポーズ

  • ろくろを回すポーズ

  • 指を指しているポーズ

  • 考えるポーズ(あごや口に手を当てる) etc.

考えるポーズ
説明しているポーズ

3.アイキャッチ用

記事の“顔”ともなる、アイキャッチのための画像もお忘れなく。先述した右寄せ・左寄せの構図の他に、以下のバリエーションがあると、どんなデザインにも対応できます。

  • 背景白

  • 背景色あり(グリーンや黒背景、景色など)

  • ロゴあり

特にビジネス系の記事で使う、事例紹介などの記事では「相手企業のロゴを入れる」などが指定されます。

しかし、企業によってはロゴの前で撮影できなかったり、適切な明かりやスペースなどの環境が整備されていなかったりすることもあります。

そのため、後からでもロゴをいれたり、アイキャッチのテンプレートに使えるようにロゴ無しのものや背景が使いやすい白色などの写真など、最低でも2種類は撮っておくと安心です。

アイキャッチは余白をつくっておくと、柔軟にデザインしやすいです

事例記事・ビジネス系のアイキャッチについては、私のお手伝いしているLboseさんのインタビュー記事が参考になります▼

【番外編】リモート取材の写真、どうもらう?

コロナ禍で増えたリモート取材。さらに遠方の企業ともなると、撮影に行けないことも増えます。また、予算が限られているメディアでは「写真は先方からの提供」としていることも多いです。

「写真が先方提供のとき、どんな写真をもらえばいいの?」

いつも私が指定している写真が以下のとおりです。

  • ポートレート写真(アイキャッチ・プロフィール用)

  • PCを操作している・仕事風景の写真

そのほか、記事の内容によって以下のような写真を指定することもあります。

  • 社員と写っている写真

  • イベントや展示会の写真

  • 家族と写っている写真 etc.

これらをできれば5枚以上、最低でも3枚以上はもらっておくと、写真撮影ができないオンライン取材の記事でも“なんとか”なります。

アイキャッチに使える写真は2〜3枚はもらっておくと◎
仕事してるっぽい写真

撮り直しが難しい取材撮影は、バリエーションを多めに撮っておこう!

今回は、私がいつもカメラマンさんにお願いしている、取材記事の構図やバリエーションについて紹介してきました。

取材撮影は交通費や人件費もかかるため、基本的には撮り直しができないものです。後から「バリエーションが足りない!」となっても、今あるもので対応しなければいけないのが現実。

そのため、撮り直しが難しいかつ、同じ構図の写真を使えない取材の撮影は、バリエーションを意識して撮影をするのが吉。今回紹介したすべてのバリエーションは必要ありませんが、5〜10くらいのバリエーションはあると良いです。

また、取材の後半でカメラマンさんに「取れていない構図や表情はありますか?」と聞いておくと、「笑顔が取れていないです」「肩越しが取りたいです」と、要望をもらえて、バリエーション不足が防げます。

今回のnoteが、取材の撮影ディレクションをするみなさまのお役に立てば幸いです!

■写真提供
さどまち(@sdmc0129
水元琴美 (@cotsu_ghn

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