「“働けない期間”に備えるために」フリーランス編集者の私が、ライターチームをつくる理由
私はフリーランスとして、編集者やWebメディアに関わる仕事をしている。
元々はライターとして活動していたところから、2021年頃からネコノテ編集部というライターチームも始め、これまで100人以上の編集・ライターさんと仕事をしてきた。
そんな私が2024年に掲げてきた目標が、ネコノテ編集部を本格的にチーム化することだ。
今回はフリーランス編集者としてぶち当たった壁を乗り越える、フリーランスの生存戦略としての「チーム化」の話を書いていきたい。
ライフイベントに備えるためのチーム化
私はつねづね「働きたくない」と公言している。ライターチームをつくって人に仕事を任せている理由は、自分の稼働時間を減らしたいこともあるが、本当の理由は、いつか自分が働けなくなる期間ができたときでも、キャリアがリセットされないためだ。
女性として生まれているので、妊娠・出産というライフイベントを望むなら、どうしても仕事から離れる期間ができることからは逃れられない。もしくは、事故や病気で急に働けなくなることもあるかもしれない。
でも、フリーランスは復帰後のポストが確約されないのがほとんどで、休む期間があれば、すぐに他の人に取って代わられ、その仕事がまた回ってくる可能性が下がってしまう。
そこでチームをつくり、自分がいなくても、もしくは少ない仕事量でもチームとして価値が創出できていたら、数ヶ月の休みであれば、産休からの復帰の可能性は上がると思う。
はじめはそんな目論見で、チーム化を進めてきた。
いつしか自分のためではなく、"みんなのため"のチーム化になった
自分の稼動を減らしたいとか、いろんな仕事に関わりたいとか、結局は働きたくないとかいう理由でチーム化を始めたわけだが、最近は「周りのライターさんや編集さんの実績づくりを応援したい」という目的が主になってきた。
共同運営している取材・編集・広報が学べる「Marbleスクール」。2023年1月にスタートしてもうすぐ丸2年が経とうとしている。
スクールでさまざまなライター、編集者志望の人を見てきて「この人たちの第一歩を応援したい」「実績をつくってあげたい」「もっと一緒にお仕事したい」という気持ちが大きくなっていった。
かれこれもうすぐ4期も終わりを迎えるが、1期生など卒業生はおそろしいくらいの成長をしている。これは100%本人たちの努力の成果なのだが「えるもさんのおかげで、編集の仕事ができました!」と言ってもらえることもある。
「私が育てた」なんて微塵も思わないし、恩返しをしてほしいとも思わない。
でもやっぱり私は、誰かに必要とされて、誰かの人生に少しでもいい影響を与えることでよろこびを感じる質なんだと、あらためて実感した。
チーム化に必要なのは「自分でやりたい病」を乗り越えること
2024年にテーマとしてきた「チーム化」だが、もともと1人で仕事をしてきたフリーランスだからこそ「人と働く」「人に任せる」ことに大きな壁があった。
取材は自分でやりたい、編集は自分でやりたい、ディレクションは自分でやりたい、タイトルは自分が決めたい…。
はじめは人に取材も任せられなかったし、すべての記事を私が編集していた。
そうやって「自分でやりたい病」を脱せずにいたら、月に20本近く編集をして、私の編集で動きが止まり、納品が遅れ…結局、チーム全体の動きが悪くなってしまった。
そんなとき、少しずつ仕事をお願いしていたスクールの卒業生に、編集とディレクションを任せてみた。そうしたら、なんの問題もなく仕事が進む。むしろ私がやるよりもスムーズに、丁寧に仕事を進めてくれるまである。
細かいディレクションや一次編集を人に任せていった結果、私はよりメディア全体を見れたり、タイトル・企画に注力したりなど、より広い視点記事とメディアを見れるようになった。
「思い切って任せてみる」そんな一歩を勇気を持って踏み出すだけで、自分の可能性が拓ける経験だった。
フリーランスの生存戦略としての「チーム化」
そんな私は、フリーランスの生存戦略として「チーム化」をおすすめしている。
先にも書いたように、フリーランスは労働時間と収入が単純比例する「労働集約型」な働き方だ。自分に何かがあった時に、収入がゼロになる。しかもポストも確約されない、弱肉強食の世界だ。
そんなリスクヘッジのために「“非”労働集約型」の働き方を模索する人が多い。ブログやnote、サービスをつくる…なんてのも方法だが、私は「チームをつくること」も労働に頼らない働き方だと思う。
チームで動くようになれば、自分ひとりで記事を書くよりも、時間に対する単価が多くなることもある。もし、100%で働けない期間ができても、人に任せられれば、仕事は継続できる。
もちろん、フリーランスの中にもずっとプレイヤーとしてスキルと専門性を高める「職人タイプ」もいるし、チームで働くこと、人をまとめることが苦手な人もいる。
だから「チーム化」が、かならずしも全員に最適な方法ではないかもしれないけれど。それでも、働き方に悩んでいる、ライフイベントに備えたい、キャリアアップをしたいと思っている人がいたら、「チーム化をはじめてみる」という選択肢を知ってほしい。
▼チーム化をはじめてみたい人に読んでほしい「まずはここから」のnote
そんな私の頼れる仲間たちが所属している「ネコノテ編集部」のサイトが本日オープンしたので、よかったらぜひのぞいてみてね👇️
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