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爬虫類に室内用の加湿器はデメリットの方が多い
閲覧ありがとうございます。
ミル・エスカマスと申します。
「MOLTIMG BASE」という屋号で、
・ペット飼育者向けの外構工事
・爬虫類の飼育、繁殖、販売
・動物専門学校講師
等をやってます。
環境エンリッチメントに重きを置いてサービス展開しています。
このnoteでは、爬虫類飼育という趣味の世界をちょっと変わった視点から書いていきます。
寒い冬の季節。爬虫類を複数飼育している人は、飼育している部屋をエアコンで一律保温し、加湿器を使って湿度を上げているご家庭も多いような気がします。
現在、私は100匹以上の爬虫類を飼育しています。
エアコンは、常時24-26度。
要求温度の高い生き物は、そこに個別に保温をしています。
部屋に加湿器は置いていません。
加湿が必要な生体は、すべて個別に加湿しています。非常に面倒です。
しかし、なぜ一括の室内用加湿器を導入しないのか、加湿器のデメリットについてご案内いたします。
・ケージの中の湿度が効率よく上がらない
割と湿度に対する要求レベルが高い、ニシキヘビを例に説明すると、
彼らは常時50~70%の湿度が望ましいとされています。
これより下回ると、肺炎などのリスクが極端に上昇し、冬場はとにかく注意が必要な生き物です。
室内全体用加湿器は、様々な加湿方法の製品がありますが、空気に水分を含ませて室内全体に水分を行き渡らせます。
しかし、空気の流れが作りにくい爬虫類ケージの中には、効率よく加湿ができません。
ケージ内の湿度を50%以上にするために、室内の湿度を70%くらいに過剰に加湿している方も、少なくないように感じられます。
過剰な加湿は、部屋に結露を作ります。
室外との温度差により、窓際などについた結露は、カビなどの温床になるのはもちろんのこと、
周りの水分を吸収する性質が強くなりますので、結露はどんどん部屋を乾燥させていきます。
ガンガン加湿することによって、部屋を乾燥させていくという非常に無駄の多い状態になります。
・エアコンの寿命を縮める
冬場のエアコンの故障は、場合によっては爬虫類の命に関わる非常事態。絶対に避けたい事です。
加湿器によって巻き上げられた水分は、空気中のチリやホコリを巻き込みます。
巻き込まれたチリやホコリは、エアコンのフィルターに吸い寄せられ、エアコンのフィルターは急速に汚れ、エアコン本体に過剰な負荷を発生させ、エアコンがあっと言う間に故障します。
「動物がいるからエアコンのフィルターが詰まり易い」と、考えて、こまめなメンテナンスをしている方が多くいらっしゃいますが、
実際には、常に加湿器を稼働させているのが詰まり易い原因です。
厳密には、加湿器&サーキュレーターと、ペットシーツの仕業です。
ペットシーツに含まれる給水ポリマーの粉末が、人知れずサーキュレーターの風に乗り空気中に、さらにそれが加湿器の水分に巻き込まれ、エアコンの中に侵入。
エアコンの中でポリマーは吸水しながらゲル化、肥大化していき、エアコンを故障させています。
我が家では、加湿器とサーキュレーターを撤廃してから、エアコンのフィルターは一年間ほとんど汚れなくなりました。
他にも小さな事で言えば、まだまだデメリットがありますが、私は上記の2点から、室内用加湿器を使うのをやめました。
しかし、それによってケージ内が乾燥してしまっては意味がありません。
我が家では、どのように対応しているのか、そちらも紹介いたします。
加湿器の使用をやめてからの我が家は、
・保水性の高い床材を使って、常に加水し続ける。
・こまめに霧吹きを行う
などの、月並みな対応でやりくりをし続けていました。
しかし、上記したパイソンの仲間などは、できるだけ衛生的に、かつ湿度に振れ幅が無いように飼育する為の方法について、なかなかコレというやり方を見い出せず困っていました。
一回の糞尿の量が多いうえに、多湿環境を永続的に維持しなければならないパイソンでは、床材への加水は衛生的に維持するのが難しく、かつ霧吹き等では、湿度の増減にバラつきが生じてしまいます。
実際、部屋でガンガン加湿器を炊いている方の多くは、パイソンの為に行っている方が多いのではと思います。
そこで、私は、近年話題の「エコ加湿器」を使用してみました。
電気を使わず、特殊な繊維構造の布やフェルトを使って、水分の蒸発を促し加湿する製品です。
これが非常に有効で、空気中の相対湿度に合わせて、勝手に湿度調節が行われるので、見事にケージ内の湿度を65-75%に保持してくれます。
ただし、市販のエコ加湿器には、パイソンに使う為には致命的な欠陥があります。
・倒れやすい構造になっている
・倒れると、ケージ内が水浸しになる
・特殊なシートやフェルトが、糞尿で汚れたりカビが生えると、ケージ内を衛生的に保つのが難しくなる。
という点です。
上記を満たせる既製品が中々見つかりませんでしたので、簡易ではありますが、自作する事としました。
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コレ。なんの変哲も無いタッパーの蓋に、切れ込みを入れただけのものです。
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この切れ込みに、折りたたんだキッチンペーパーを写真のように入れ込み、タッパーの中に水を注ぎます。これだけです。
タッパーの中から水分を吸ったキッチンペーパーが、表面積を使ってタッパーの中の水を蒸発させて加湿します。
このタッパーをケージ内に放り込むだけ。
これだけで上記のエコ加湿器の欠点を殆どカバーしたものが出来ました。
日々のメンテナンスの際に、水を変えてキッチンペーパーを新しいものに変えるだけで、衛生的に使用できます。
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これは、夜間のパイソン用の温室の数値です。
この日は、同室の1200水槽の水換えをしており、これでも普段より湿度が高いです。普段は10%前後になることもあります。
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これが、自作のエコ加湿器を入れたケージ内の数値です。
24時間継続して高い湿度を維持できます。
我が家のパイソン類は、温度緩急をできるだけ抑えるために温室に入っています。
温室内でも、ある程度個別に保温しており、サーキュレーター等は使用していません。
湿度が上がるとカビが増え、ウィルスは抑えられます。
逆に湿度が下がると、カビは抑えられ、ウィルスが活発化します。
ケージ内は衛生的に加湿し、温室内は乾燥する事によって、二層構造でカビとウィルスに対抗できればいいなぁと考えています。
予防というのは、効果を発揮出来ているかどうかが証明しにくいものなので、あくまで希望的観測です。
爬虫類飼育という趣味は、まだまだ数十年の歴史しかありません。歴史と呼ぶ事すらおこがましいかもしれません。
マニュアルに乗っている最善は、これからどんどん塗り替えられていく事でしょう。
きっと、今回紹介したエコ加湿器にも、さらなるブラッシュアップがされて行くと思います。
「カワイイペットの為に最善を尽くす!」
しかし、
「最善が更新されていく」
という世界ですので、毎日、爬虫類の事を思い悩み続ける事が、現時点での飼育者にとっての「最善」では無かろうかと私は考えています。