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【随筆日記】ストリートビューで追う47都道府県思い出の場所《広島県》


31広島県向島

広島県向島

 今から15年くらい前に尾道に行った事があった。日本中旅して回っていたが尾道は初めてだったのだが、その時に高台から海峡の対岸にある向島が見えた。船のない造船所、そして「ろ」とだけでかでかとかかれた看板が妙に目を引いたものだ。直後に知ったが尾道でだけ今でも船の艪を作っているということだった。もうひとつ思い出したのが大林映画のどれだか忘れたが向島へ行く船がなくなって帰れなくなるエピソードだけ思い出した。その向島、現実として自分の目の前にあった。それだけでもなんとなくジーンときたものだ。

 尾道の坂ばっかりの裏路地、上がれば上がるほど全容がわかってくる尾道海峡。そして登り切ったところにあった千光寺などなど、まだまだ日本には自分の知らない場所はいくらでもあるものだと思ったものだ。そしてそれは今でも変わらない。

 その時の宿は福山だったが、福山に着いた晩、駅前のコンビニで派手なケンカがあって店の棚が倒れてしまうほどの殴り合いを目前にして激しいところだと思った。駅に入ると改札の先で別の人がやっぱり殴り合いのケンカをして、片方が鼻血を出していた。

 翌日尾道から帰って来て電車を降りるとき、前に立ってた人が降りる前にホームから人が乗り込んできてぶつかり、これまたホームで激しい殴り合いが始まった。以来自分の中では福山では人の目を見てはいけないと思うようになった。偶然にしてもひどすぎる。路上で乱闘というとそれ以前には山口、福岡などでも見かけているが、何かこれらに共通したことでもあるのかなと思う。

 そんな取るか取られるかで空気が常にピリピリとしている福山とは違い、尾道はとても穏やかでのんびりとしていた。古い町並み、穏やかな瀬戸内の風、居ながらにして旅情をぐっと引き立ててくれる。まだまだ日本にはこんな場所があるんだと穏やかな尾道でも殺伐とした福山でも思ったものである。

 話はまた先ほどの大乱闘にもどるが、当然町の印象はわるく感じられるが、福山だけは山口や福岡とは違ってまた行きたいと常々思っている。まだ鞆の浦を観ていないのが最大の理由だが、本当はここ、山口や福岡とは違ってさほど下品な町ではないだろうとうまく説明はできないが感じられるからだ■

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