【詩作日記】 「The Third Layer / #2」
雨の激しさ翳ろうと
浮羽のしみに負い目あり
雪の記憶に目を覚まし
指の痛みが蘇る
朝の滴のはかなくも
月の歌声 追い風に
不治の袂に呼び戻し
不死の末路の底を見る
蚊帳の中での茶番劇
形なき夢や夏の蝉
褪せて気づけば残り香に
痩せた影また残りゆく
裏の欅の梢立ち
黒きうつゝをまたのぞき
夢うかゞいし夕立に
爪かみ待つは宵の入り
「#2」 詩集「The Third Layer」から 2005年初出