【詩作日記】 「異国の出来事 / 飛行機雲」
「飛行機雲」
機内から見たエンジンが
激しく煙を吐き出している
大いに肝を冷やした後
きっとこれは地上では
飛行機雲に見えるものだと気付く
と言うよりは
そうであって欲しいと
たゞ祈るばかりだった
呆れるほどもうもうと吐き出される飛行機雲を
横から見ていると
どう見てもエンジン火災にしか見えないのに
地上から見上げると
何故あんなにきれいなのだろう
僕はふと目を閉じて
今乗っているこのイリューシンが
飛行機雲を作りながら空を滑る様子を
想像していた
きっとそれなりに美しいのだろうと思うと
それだけで嬉しくなった
「飛行機雲」 詩集「異国の出来事」より
1997年イスタンブール行きSU503便にて 2021年再推敲
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