【詩作日記】 「異国の出来事 / モスクワ行き機内にて(1)」
「モスクワ行き機内にて(1)」
初めての外国はどうやら
ロシアのようだ
機内のアナウンスを
聞いていればわかる
聞き取り不能のロシア語と
ややべったりした感じの英語の後
間違いだらけの日本語で
何のかんのと案内がある
「リヽクガ終ワルマデ煙草ヲゴ利用クダサイ」だとか
「当機ニ乱気流ガ入リマシタ」だとか
英語を聞いた方が
正しい情報が得られる
日本人の多い機内で日本人であるはずの自分が
まるで日本語を異国の言語として受け入れているようで
こんなアンバランスな感覚がたまらなく恥ずかしい
いっそ
英語に切り替えよう
新聞も雑誌も
英語のものを頼んで
英語で考え
英語を話そう
ふとそんな言語感覚が麻痺しそうな
日本人の多い機内で
英語でものを考えながら
日本語で詩を書きはじめた
「モスクワ行き機内にて(1)」 詩集「異国の出来事」より
1997年モスクワ行きSU584便にて
2021年再推敲