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【随筆日記】ストリートビューで追う47都道府県思い出の場所《新潟県》

JR越後川口駅

16新潟県越後川口駅

十代の頃の記憶なのでかなり曖昧な事かも知れない。 

 昭和の頃、全国に夜行列車が走っていた。中央線には松本行き、東海道線には大垣行きなどというような感じで鈍行の列車が走っていた。そんな中のひとつに上野発長岡行きの夜行列車というのがあった。何の変哲もない普通の通勤電車だったと思う。なんちゃら系と言った番号はきっとあるのだろうがそう言うの全く知らない。昔の湘南電車のカラーだった。

 川端康成の「雪国」にあまりにも有名なフレーズがあった。

国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国だった。

 そんな情景をイメージしながら越境を楽しみにしていたのだが、実際にはトンネルに入る前から雪景色になっていた思い出がある。

 その夜行列車が越後川口に着くとちょっと停車時間が長かったのでホームに出てみた。初めての新潟県(だったと思う)、ホームにも雪が積もっている。横浜にだって雪が積もる事くらいあるのだが、そんなつもり方ではない雪が当たり前のように積もっているのは目に新しかった。そっと触れてみると冷たくて雪だった。手に掬うとなんともやる気なさを感じた。集まってくれない。

 次に思い切ってその雪にダイブしてみた。きっと多少はめり込んだところで受け止めてくれると思っていたのだが、思いのほか深く埋もれた。そう、その時の雪の印象は「やる気なし」だった。押せば押すだけめり込む、手で掬っても集まってもくれない。横浜の雪はそんなんじゃなかったのに、雪国の雪ってこんなのがたくさん降るのかと思ったものだ。まだ高校生の頃、そんな感覚で雪国の雪に初めて触れた。

 その後再び電車に乗り込み、長岡から電車を乗り着いて新潟まで行ったような他の場所だったかなと考え直すこともあったりと記憶が極めて曖昧な中、触覚の記憶の正確さは視覚や聴覚よりも確実だったと改めて思う。あの雪にダイブした様子、端から見たらみっともないだけなのだがそこで学んだ事は今でも大きいと思っている。

 その後も越後川口には何度となく行くのだが、その度にホームの雪に飛び込んだことばかり思い出す■

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