【随筆日記】ストリートビューで追う47都道府県思い出の場所《和歌山県》
和歌山県紀伊大島エルトゥールル号遭難祈念碑
「海難1890」という映画があった。2015年公開の日本とトルコの合作映画、トルコ語のタイトルは"Ertuğrul (エルトゥールル)"だった。今から130年ほど前にあった紀伊大島沖のトルコ軍艦遭難事件の映画だ。簡単に書けば明治天皇に謁見に来たトルコ海軍の戦艦エルトゥールル号が台風を押し切って出港したため紀伊大島沖で遭難。島民総出で救出したおかげで60名ほどのトルコ兵が生き残ったという海難事故だ。
そんな出来事は日本ではほとんど知られていない事だが、トルコでは小学校で必ず教える重要なことでもある。この映画のおかげで日本でもエルトゥールル号遭難事件を知っていると言う人は増えたかも知れないが、それでも微々たるものでどうしてトルコの人はこれほどまでに日本が好きで日本人に親切にしてくれるのか、その理由がわからない人は未だに多いと思う。
新婚旅行をトルコにするくらいで僕はもともとトルコという国が大好き。そして妻も新婚旅行が初めての海外旅行だったことからトルコには良い思い出しか持っていない。なのでこの映画が公開されるとすぐに観に行った。あまり詳細は書かないがトルコびいきの人にはとにかく感動する話。それは遭難したトルコ人を救うシーンではなく、イラン・イラク戦争時テヘランから脱出できなかった日本人をトルコ政府が飛行機を飛ばして救出したシーンで胸が熱くなる。そしてこの事実はもっと日本人も知っておくべきだろうと思った。
さて、前置きが長くなったがわんこを連れて紀州を旅したときに潮岬に行ったついでにこの紀伊大島にも立ち寄った。と言うかほとんど潮岬の方がついでだった。紀伊大島は紀伊半島先端から橋で繋がった離島で、東端の樫野崎灯台の駐車場に車を止めるとその先は1キロほど歩く。途中にはトルコ人が経営する絨毯屋があったりと確かにこの土地はトルコとの縁が深い事がうかがえる。写真の慰霊碑は灯台の手前にあり、近くには近代トルコ初代大統領のケマル・アタチュルクの騎馬碑も建てられていてここだけ妙にトルコ色が強い。
こんな場所が日本にあることもどれだけ知られているのか、とにかく本当ならもっと知っておくべきだとは思うが。日本がいまだに一部の国からは敵視されて憎まれている一方で、遙か遠くの異国では日本を慕ってくれる国も数多いことを知っておくべきだ。そしてそれは損得勘定などなく異国の人々と誠実に接してきた日本人の精神が今なお慕われていることを知ってもらいたい。そして同じようにこれからも外国と接してもらいたいと思う■
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