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「洗脳機関へようこそ」ー哲学科に入ると数学と言語以外の高校以前の学力大抵いらなくなる-
私が通ったのは意識高めの哲学科。
第一志望だった。絶対ここしか入りたくないって思ってた。
違う学部の学生が出来心で講義に紛れ込むと必ず言ってた。
「雰囲気が違う」「やっぱ変わってた人が多いね」
他の文系学科は優秀な人ほど、勤勉だったり、人柄も良かったりするものだが哲学科は違う。
やばい思想、悪魔的な考えを持ってても成績が取れるし。
正論に対して屁理屈を言える奴が成績を取れる。
やばい思想を持てるかどうかもある意味才能だけど、
私は日本美術の批評の授業がとにかく超超超得意だった。
ちなみに美術はあまり興味ない。どちらかというと歴史に興味があった。
そのせいか知らんけど漢文を読むとか巻物を読むのがうますぎた。
+専門用語とかを全く知らないおかげで型にハマらない意見を言うことができ、極め付けは有名な絵を知らないのでマイナーな絵に興味を持つ傾向があった。
入学した時に課題が出て、私は教授の書いた絵巻物の世界〜的な本についてレポートを書いた。
あんまり何書いたかわからないんだけど多分、仏教の六道とかそっち系の内容だったと思う。
うーん地獄についてだけ書いたような気もする。
そのレポートが返却された時、教授からコメントをいただいた。
このコメントは後に私にだけ書いたわかるのだが・・・
初めて教授に会った時「あなたがELさん!?ずっと会いたかったです。すごくいいレポートだったから名前を覚えていたの。」と言われた
実際はもっと褒めてもらったんだけどあんまり覚えてない。
そんな感じで、高校までの勉強をどんくらい頑張ったかはほぼ関係なく
やばい才能か、やばい思想か、やばい素人が輝く学科だ。
私はこの科目においてやばい素人になれた。
別の教授の授業で「春画」をテーマにプレゼンした時は
ただエロいってことしか私にはわからなかったので、
この絵がどうエロいのかめちゃめちゃ個人的な見解で語ったら
教授が「君単位あげるからもう来なくていいよ!」って腹抱えて笑ってた。
教授は女子大生が卑猥な言葉言うの好きなんだなと思った。
言われた通り、その後の授業に出るのをやめたら、本当に単位が出た。
ガチでそんなもんだ。
めちゃめちゃ思想でも覚醒したことが一回だけある
私はやばい思想を一回だけ持てたことがある。
私はその時、新約聖書にハマってた。
新約聖書を読みまくって、
「これめっちゃ泣けんだよ、少年漫画の原点だよこれ・・・友情・努力・勝利だよ」
「マタイ読んであまりの切なさにロスったんだけど、その次のマルコで別視点のアナザーストリーになってて劇場版でやるやつじゃん!と思った」
「使徒行伝がやばい、熱い、新キャラ出てきてしかも主人公の味方を殺した経験があるキャラがめちゃめちゃいいやつになんの!」
とか言ってた。
ネタバレはこれくらいにしとこう。まじ面白いから新約聖書。
そのくらい読み込んだせいでかなり神学にも興味を持った。
「キングダム」を読んで史記を読む、「呪術廻戦」を読んで呪術の本を買うみたいなそのくらいのテンションだ。
全然関係ないがELという名前はヘブライ語で神だ。その時ノリでつけた。
神学とはちょっと違うかもしれないけど好きな議題でレポートを書いていいよって言われて「初期ライプニッツにおけるカトリック論証」をテーマに書いた。一応リンク貼っとく。
まあ、何が書いてあったかというとほとんど数式だ。
ライプニッツは中国の易経(タオイズム)を参考に二進法(010101010みたいなやつ)を発表したり、微分積分を発明したマジで半端ない天才だ。
ライプニッツはモナドロジーという考えを持っていて、モナドとは単子のこと。
これからお話するモナドとは、複合体をつくっている、単一な実体のことである。単一とは、部分がないという意味である。
一応私が間違ってないか確認するために引用文も置いておく。
この世界は1つの単子から発散していて有限でも無限でも広がる、
そして全てのものは1つの単子に収束される。
まあわかりやすく言っちゃえば、モナドの最高原因は「神」ってこと。
こういう発散と収束させる技を持った最強キャラが漫画に多いけど、
原作者は全員ライプニッツに感謝した方がいい。
あと「予定調和」って言葉、サラリーマンのおっさんがよく言ったりしてるがこれもライプニッツ発。
モナドってのは魂と身体に別々にある。
この二つは例えば我々人間(別にウサギでも猫でもいい)を表象する。
表象っていうのはイメージのこと。
例えば魂のモナドが身体のモナドから離れると人は死ぬ。
逆に、魂のモナドが身体のモナドから離れても死なないってことはないと考えられる。こういう考え方は対応説って名前で知られてる。
で、「予定調和」っていうのは、
色々決めてんのは「神」じゃん?
そんで「神」が魂と身体のモナドを創造した時に、ちゃーんと人間になるように初っ端から調和的な対応関係になるように設定したってもの。
超厨二病ワードだかんね!
で、「初期ライプニッツにおけるカトリック論証」はまだライプニッツはモナドが出会う前に書いたものだ。モナドを生む何年も前だったと思う。
私はイケてる考察が、この論文なんか考え終わりましたって感じで書いてるけど、こっからもうちょい頑張れば、モナドになったやんっていうもの。らライプニッツは論文のテーマ的には神性がどうかだったか神の存在論証だったか忘れたけど全然関係ないこと書いてた。
で、つながるやーんってなってレポート提出したら最強の評価A+。
教授からは「ずいぶん難しい本を選びましたね。そんなふうにこの論文を考えたことがなかったです。点と点を繋げてしっかり線になっている。魂とか霊性とかに興味があるの?みんなはこういうテーマは結構避けるんですよ。多分実感がないからだと思うけど、君は確かに存在するって思っているのが文章から伝わってきたよ」と褒めてもらえた。
私この時覚醒してたわ。マジで。
レポートを書いてて楽しかった、ライプニッツがわかりやすく何度も三段論法で説明してくれてるからかもしれないけど、彼の言いたいことがめっちゃわかってた。
こういうたまたまめっちゃツボに当たった!みたいな運ゲーの積み重ねで成績を釣るのが哲学科。不登校の女の子がテストの日だけ来て「善」についてレポート書いたら98点とかだった。真面目に出てたのがバカらしくなる。
哲学科ってなにすんだよって多分世の中の8割の人が思ってるけど、
レポートとプレゼンを中心に運ゲーをしています。
実際、天才の論破は天才にしかできないし、そこまでできる必要はない。
学生というモラトリアムでしか学べないことをやりたいって人にはおすすめ。私はそうだった。なんとなく霊とか見えちゃってる人にもおすすめ、そいつとの向き合い方がわかる時もある。
人間なんか生まれてこなければいい〜みたいな鬱な思想も学べる。
非出生主義は誤解されがちだけど、あえてネガティブな議題にしているだけで多くの哲学者の本意は非出生主義を覆す論が出てほしいなっていう願いが根底にある。「皆殺しだ〜!」「子供は産むな〜!」みたいな感じには学んでもならないから親御さんは安心してください。巷で非出生主義に賛成みたいな人は反対しろって言われてるのに賛成しているような、そもそも話の趣旨をよくわかってない人。言葉が厨二でかっこいいからね。
教授が哲学科の入学オリエンで「洗脳機関へようこそ。学校というのは国家にとって都合の良いことを頭に擦り込む場所。私たちはあなたたちを洗脳するけど、学校で習ったことが正しいとか常識だとか思わないでほしい。」って言ってくるし、私これ言われた時感動しちゃったな。
無理やり大人が子供に覚えてほしいことを刷り込んでんな感あったもん。
このnoteを読んだ人がちょっと哲学科のイメージがわかってくれると嬉しい。
以上、学習院文学部哲学科を太古の昔に卒業した人より