DREDGEの感想
やっていけばいくほどこの不気味世界に慣れていく自分に恐怖する。
<概要>
「DREDGE」は、不穏な雰囲気が渦巻くシングルプレイヤーのフィッシングアドベンチャーだ。釣果を売り、ボートをっプグレードし、長い間地に埋められた秘密を求めて深みへと進もう。謎の諸島を探索し、なぜ忘れ去られた方が良いことがある理由を探るのだ。
<買うに至った経緯>
筆者は魚釣りができるゲームは大体良いゲームということを強く思い込んでいる節があり即購入。値段は3,999円とインディーズボリュームなゲームにしては少し割高に感じるが「魚釣りに勝るものなし」というまじで安直な考えで買いました。
本作は事前情報一切なし
<全体の雰囲気>
そして、スローライフ的な感覚で始めた本作は、序盤からすべてをぶち壊す。そう、とにかくすべてが不穏なのだ....。 出てくる奴出てくる奴、どこか問題を抱えたり嘘ついたり、大事なところを説明しなかったりと基本的にプレイヤーにそこはかとなく”モヤモヤするような会話”を心がけてくる。 だからこそいい…逆に引き込まれるディストピアな島々の探索への好奇心と海への恐怖というバランスがとてつもなく良い。
時代背景などは基本的に現代で、町の雰囲気も絶妙な廃れ具合も相まって哀愁感じさせる。この寂しい雰囲気からくるどこか狂気的でカルトじみた雰囲気にのめり込んでいく...。
海に漂流しているメッセージボトルを回収して内容を確認していくと一体誰のものなのか…。そして、内容は突飛に明るかったり重かったりと振れ幅の大きさに不気味さを感じる。
ミステリアスな雰囲気が好きな人や、フレーバーテキストを読んで世界観に浸かりたい人におすすめできる作品。
<ゲームシステム>
・初めに
言わずもがな"フィッシング"だけではないDREDGE。
基本的にはシンプルな操作がメインの本作、船の移動などは従来のラジコン操作で直感的にわかりやすく、その他アクションについてもゲームにある程度慣れている人ならとても馴染みやすいと思う。
このゲームの目的は、ある遺物を集めていくというもの。しかし、その遺物をなんのために集めるのかは言及はしてくれない…。
自分の船の積載量(マス)を増やしながら、エンジンなどを強化したりと成長要素に近いアップグレードも可能。
さらにこの積載システムが少しユニークで、魚やその他アイテムは重さではなくマス目の大きさや形で表現されており、どのように自分の船のマス目にはめ込むかによって持ち帰れる量も多少なり増えるので、毎回入手するアイテムによって様々な形にはめ込み「あ、気持ちいい…」しよう。
序盤はもちろんマス目が少ないために持ち帰れるものも限られてくるが、船をアップグレードすることで持ち帰れる量も増える。本当に地味に気持ちいを継続的に得られる変なゲーム。スルメゲーに近いようでそうじゃないスルメみたいな何かをしがんでる気持ち。
・アビリティ的な奴
ゲームを少し進めると、ある人物からアビリティ的なものを獲得できる。このアビリティは便利なものが多く、代表例を挙げるとブーストで他のもので例えるならダッシュみたいな感じ。
これがマジで使えるので、ぜひ取ろう。他にも数種類のアビリティが存在しておりストーリーを進めることで解除できる。
この人物とは長いおつきあいにもなるので、ちゃんと挨拶しておこう。
・漁(釣り、網、籠)
漁については、コマンド系と放置系の2種が存在しています。
肝心な釣りのコマンドシステムについては正直想像してい魚釣りとは少し違い、基本的にはタイミングよくタップすることで吊り上げたりすることができる。
しかし、魚の種類によっても様々なタイプのタップ方式がある為まったく同じというわけでもない(基本的に同じではあるが)。
なお、釣り竿にもバリエーションが存在しており、それぞれ地形や水深によって対応が異なるため、都度変更したり行先によって釣り竿を変更したりと下準備も必要となってくる。
網漁に関しては、形式的には”船引き網”と”引き網”に非常に近く船を進めていれば勝手に魚が取れる優秀なもの(対応する網に張り替えないと取れない場合もある)。
籠漁については、ほぼ説明はいらん.…マジで。置くだけや…。
籠漁は基本的には甲殻類が取れる。籠にもいろんな種類があるので吟味して使っていくのも良い。
と上記にあるのが基本的な本作の漁。かなりシンプル。個人的にはもう少し直感的な釣りを期待していた…が、これは本当に個人的意見に過ぎず釣りだけがこのゲームの魅力ではない。なぜなら獲れる魚が変なのだ...。
・海洋生物(魚類に甲殻類にetc…)
サバやタラ、蟹にサメにイカ、めちゃいる。様々な魚類と甲殻類がいて、ほぼ必ず知っている種に出会う程色んな海洋生物が登場する。
そして、地形や水深、昼か夜かによっても釣れる魚が異なるため、狙いの魚を追うのも一工夫あり、やりがいを感じることができる。サイズもあったりするので、でかいの出るとうれしいよね。
なんと120種類を超える。多すぎる。やめてくれ。
そうして楽しくなり「やったーサバだー美味しいよなー♪」「蟹だ!久しく食べてないなー」なんてテンションでこのゲームを進めてると突然やってくる奇形種。これがマジでキモイ。
ビジュアルはさることながら、名前、フレーバーテキスト全部キモイ。俺もこんな顔になる。マジで引く。
でもその中に、ほんのりとある変態的な作りこみ。そして、獲得時の妙な嬉しさと実際約二倍くらいの値段で売却できるため、やっぱりうれしい。知らぬ間に愛着すらわいてくる。愛おしい化け物たちになっていく。
・探索
釣り以外の主なシステムは探索だ。正直本作を紹介するうえで一番大事と私は考えているし、このゲームの恐ろしさはそこにある。
点在する島々を冒険しながら孤島で遭難し人に遭遇したり、難破船を探ってアップグレードパーツを探ったりすることもできる。島が見えると時間も気にせず吸い寄せられるてしまう...。
だがしかし、このまま気まま冒険はさせてくれないのがDREDGE…。夜になるとさらに不気味に空気も重くなっていく。夜に気を付けるための三項目。
1.目に注意しろ
2.赤い霧には近づくな
3.船には気をつけろ
「1.」についてはこの本作では、かなり重要な部分でこの目の部分(以後SAN値)が赤になればなるほど身の回りでよくないことが起き続ける。
厳密な数値などが出てないため、自分で判断するしかない。このSAN値が上がっている状態では、昼間ですら全くいいことがない。
例えば、昼間には存在していなかったはずの岩が突然出てくる。
急に出現してくるためマジで座礁しやすく地味にうざい、敵やらに追われているときに出てくるときのうっとうしさは、こっちもSAN値溜まる。この状態を解除するには寝る以外ないが、ライトをつけることで比較的早く出現に気づくことができるため、回避しやすい。
そしてこのSAN値は時間経過でも減少するが、昼間にも継続してしまうために昼間でも怪奇現象が起き続ける。安全に海の航行をしたいなら寝ろ、はよ寝ろ。
「2.」赤い霧については、この本作で一番でアウト冷や汗も隠しすんごいパ二くる。まじでやばい。
この霧に触れてしまうとものすごい勢いで、SAN値が溜まる。ほんで、人類ではどうすることもできないバケモンが襲ってくる。まじでやばいチェイスが始まる。序盤は恐らく2、3回襲われるとぶち壊れる。本当に厄介の何者でもない。
そんでもって、この霧に直接触れないように横を素通りしようとするとこの霧なんと、意思をもって力強く近づいてくる何の迷いもなく。こっちくんな頼むから。
ちなみに、終盤になればなるほど結構出てくるし、同時に2つ出てきたりする…これがなかなかきっつい。絶対に避けよう。
「3.」の幽霊船というか、夜にしか航行していない漁船のことで、勘のいいガキなら近づかないであろう。だがしかし、逆にイベントの類かと思って自分は近づいてみたがロクなことにならなかった。
めっちゃ追い回されて沈没しかけた…なんなんだお前…。
個人的には気づいたことではあるが、こいつはどこにでもいるわけでもなく特定の場所を回遊魚のようにふらついているため夜はそこを避けれさえすれば遭遇しない(少なくとも自分はそうだった)。
ちなみに、こいつ割と早いしバケモノのよりしつこいので本当に気を付けてください。まいたと思っても念の為に停泊して寝ておけ。
ってなかんじで、夜は本当にろくなことも起きない。怖いし船も壊れるかもしれないし変な汗もかくから「極力やめておこう!」…と言いたいが夜にしか釣れない海洋生物もいるのでそんなことも言ってられない。つらい。
・ほんのりとした謎解き
まぁ、これは本当にほんのりかつさっぱりしているのでめっちゃ簡潔に説明すると。
所々に点在する謎の石碑には、魚をマス目に合わせたりして納品したり、奇形種の納品だったりと簡易的なお題が用意されており、クリアすることで特殊な装備を入手することができる。
いや…本当にほんのりしてるから苦なくできる。優しい。
<最後に>
クリア時間は10時間程度で、時間的にはさっくりち終わっているが個人的には結構序盤の夜の海や世界観の不気味さがあったので、もう少し長く感じた。
ちなみに確認したエンディングは2種で、ハッピーエンドとバッドエンドみたいな感じ。
後半になるにつれて、この世界観にも夜の海にも慣れていく感じが不気味さを感じる。
しかし、ゲーム的に言えばもう少し難しくてもよかったとも思う。最後は船が強くなりすぎてだれも追いつけなくなっていたし、金も有り余っていたので故障したとて気にならない。
そこの部分くらいが物足りなさの原因なのかもしれない。ただ、船の操作が難しいと感じる人にはバランスがいいと思います。
なので、基本的にはこのゲームに対して「うーん」みたいなものはなく面白いゲームでした。やるゲームがない、ちょうどいい時間潰しがない場合はかなりの味方。