見出し画像

いつか女性と結婚したい男の人へ~勝手にアドバイス~

私がここで言いたいことは、結婚のキッカケは色々あれど、日常の些細な言動が結婚の大きな後押しにあるのはよくあるということ。
カッコつけたり、サプライズを用意したり、臆病になったりせずに、毎日のちょっとしたあなたの行いが相手に決意させることもあるということだ。

どうして今の旦那さんと結婚を決めたの?

久し振りに高校の時の友達と会ったとき、ふいにそう訊かれた。
20代後半のお年頃だからか、グループ内には既婚・未婚・子持ちとそれぞれいて、お互い興味津々で語り合っていた。
「え…プロポーズ、された、から……?」
急に聞かれた私は、特に面白くもなければ盛り上がりもしないような返事しかできなかった。
でもよく考えてみると、私が夫と結婚を決めた理由は好きだったから、だけではない。
なぜならそのときの私は、好きだったら誰とでもいつでも結婚できるわけじゃないことをすでに知っている年齢だったし、恋愛と結婚は違うということもわかっていたからだ。

自分を緊張させる人は絶対イヤですね…

私が夫に出会う少し前、職場の先輩にどういう男性が好きか・苦手かを聞かれて、私はそう答えた。
先輩にしてみたら意外な答えだったようだ。
「だって私、もう26ですよ。今更恋愛してドキドキもキュンもないですよ。昔だったらそういう恋愛もありですけど、ある程度の年齢になったら、やっぱり緊張しないでリラックスできる相手がいいです」
そう言いながら、私は直近まで付き合ってた人を思い浮かべた。
楽しい人だったし、頭もよくて穏やかな人だったけど、私は彼と一緒にいてもリラックスできず、どうもいつも緊張することが多かった。
「へえ、なるほど…それはいいこと聞いたな、ありがとう」
先輩は妙に納得したような顔をして、私は私で、何かいいこと言ったじゃんと、いい気分になった。

「なあに、お母さん」と「なあに、Ellie」

私の恋愛史で、重要な登場人物が3人いる。
1人はもちろん夫で、1人は私を緊張させる前述の彼、もう1人は22歳の私の人生の黄金期に出会った人。
モロッコ人だった。
モロッコというと、多くの人がなぜか「モンゴル」を想像するのだけど、モンゴルではなくモロッコ。
アフリカ大陸の最北の国、海を挟んでスペインの真下の国だ。
モロッコはイスラム教の国だが、彼は敬虔なムスリムではなく、豚肉も食べればお酒も飲むし、ラマダン(断食)もする人ではなかった。
しかし、モロッコの実家に帰ればそこはイスラム教の国であり、豊かな国ではないし、女性の地位は男性よりも低い国である。
そういう国で、彼の両親は離婚していた。
そして3人の兄弟を、彼のお母さんは女手一つで育てていた。
日本のシングルマザーと違って、両親で教育費などは協力していたようだが、そういうイスラム圏の国で、地位の低い女性が離婚して男の子3人を育て上げるのはさぞ大変だったと思う。
だけどそれができたのは、彼の母親が裁判官であったからだと思う。
加えて彼の父は弁護士、親戚には警察や大学教授や詩人がいて、その詩人さんの賞の授与式には私も参加させてもらった。
とにかく系図がすごすぎる。だから彼が母親に頭が上がらないのは当然だった。

それが顕著に表れたのは、彼の夏休みの里帰りに私も招待してもらったときのことだった。
私と彼のお母さんが、同時に彼に話しかけたのだ。
そのとき、彼が何と言ったか。
「Ellie, うるさい、ちょっと黙って」
完璧に一言一句覚えてはないが、そんな風に言われた。
初めて雑に扱われた衝撃と、お母さんが優先なのかという驚愕に完全に固まってしまった私をよそに、2人でアラビア語で会話をしていた。
そのとき私は23歳。
結婚なんて考える年ではなかったし、したくても彼とはビザの問題もあるから難しいのは分かっていたのでそこまで本気で傷付いたわけではないが、こういう人と結婚するのは絶対やめようと思った。
どんなに大好き同士でも、恋愛と結婚が違うものだと実感をもって認識したのは、これが初めてだった。

それから5年後、夫とまだ付き合ってた頃に、それと全く同じシチュエーションが訪れた。
そのときには既に結婚の話は出てはいたけど私はきちんと答えていなかったし、具体的に何かが進んでいる状況ではなかった。
でも夫は優しくて穏やかで、いつでも私を包み込んでくれるような人だった。
私は夫の前では飾らなくてよかったし、夫の前の私はいつもリラックスできていた。
モロッコのオスオスしい元カレと緊張させる元カレ、いい感じにその逆をいく夫。
お互いの年齢を考えても、タイミング的にこの人と結婚するのかなぁと、あんまり実感を伴わない中で、ぼんやり考えていた時だった。
フランスの実家に挨拶でお邪魔したとき、義母と私が同時に夫に話しかけたのだ。
一瞬私はあのモロッコの家へタイムスリップしたような感覚に陥った。
次の展開を私は知ってる。
そういう不安と、あなたはどうする?という好奇心、それからこの答えが彼にとって私からの重要なテストであること、回答によっては結婚はない、と、私の頭の中をこれらのことが瞬時によぎった。
だから私は、あのときの衝撃と驚愕に備えて少し身構えた。
「お母さん、ちょっと待って。なあに、Ellie?」

結婚のススメ

夫は私を優先してくれた。
ある意味、夫のこの一言も衝撃的だったことは間違いない。
「私、この人と結婚する」と本当に決意したのはこの時だった。
そして私は、この時の決断は間違ってなかったと思うし、結婚して7年目になる今も、夫と結婚してよかったと思ってる。
好きでもない人と過ごす50年は苦痛だろうけど、好きな人と過ごす50年はきっと足りないくらい短い。
結婚しない人も増え、一人でも楽しめる時代だけど、結婚したい人は堂々と結婚したいと宣言して、どうか自分に合うピッタリな人と結婚してほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?