フランスでは冬は家賃を払わなくていい理由
私の夫はフランス人である。
この人種は、この国は、本当に本当によくわからない。
でも少なくともいえることは、
日本人が思う憧れの『愛の国フランス』とか『花の都パリ』とか、
それとはきっとちょっと違う。
明日から東京にも大雪が降るそうだ。
冬、雪、寒いと言って思い出されるのは、フランスの住宅事情。
フランスではこの時期、家賃を払わなくても合法だ。
なぜかって?
寒いから。
寒いから、追い出されたら凍死しちゃうでしょ。
可哀相でしょ?
だから家賃を払えなくても(何なら払わなくても)追い出されない。
裁判になろうものなら、大家さんが確実に負けるのだ。
凍死するからって家賃未払いの住人は「権利」として守られて、
家賃を払ってもらえないがために栄養失調になるかもしれない大家さんの人権は完全に無視だ。
フランス人はしばしば、こうやって権利の主張がよくわからない方向に行くことがある。
それはたぶん、何か困ったとき、違反があった時、必要に迫られたとき、
その場しのぎで付け焼刃で新しくルールを作ってしまうからだと思う。
だからその度に矛盾するルールになってしまったり、
ルール自体にムラがあったりする。
その傾向は言語にもとてもよく表れている。
私はニースの語学学校でフランス語の勉強をしていたことがある。
超初心者のベイビークラスだったが、
それでも必死に複雑な文法や動詞の変化を覚えなくてはいけなかった。
その中で必ず先生が言うことがある。
「C'est exceptionnel(これは例外よ)」
英語で言うなら、3人称単数現在の場合のみ動詞に s がつくようなものである。
He eats とか、She walks とか。
もう少し踏み込んでも has とか、goes とか、does とか。
それと同じでフランス語にも例外がある。
でも私は思うのだ。
例外が100個あったら、それはもう例外じゃない。
ルールを作るべきではないのか……!!!
例外が多すぎる………!!!!!
そう、私はいつだって彼らについていけない。
だから夫が
「あ、でも春になったら家賃は払わないとダメだよ」
と慌ててフォローしたとしても、
一体それのどこに納得ポイントがあるのか、私はさらに悩まなくてはいけないのである。
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