ケーキを運ぶしあわせ
先日、娘の誕生日を迎えました。
お誕生日ケーキとは不思議なもので、お祝いされる人よりも、お祝いする人の方がはるかに幸せだと言うことを教えてくれます。
我が家でホールケーキを食するのは、年に二回。
一回は娘の誕生日。もう一回はクリスマス。
お誕生日ケーキは、例年お店で購入します。
いつでも娘のリクエスト通りに、ショートケーキ。
ケーキ屋さんのショーウインドウを眺めるだけでも、楽しいのなんの。
生クリームできっちり凹凸なくコーティングされたケーキ台の上に、生クリームとイチゴが交互に鎮座。
その美しさに、ため息。
自分たちでデコレーションしたときの汗と涙を思えば、そのケーキの美しさは、もはや芸術の域に達しています。
ケーキの上には「ハッピーバースデー」と書かれたメッセージプレート。
娘の名前を書き足してもらいます。
わずかな待ち時間、年に一度のしあわせ!
ふと、娘のよろこぶ顔を思い浮かべました。
ケーキを購入した後は、もうひとつ大切なミッションがあります。
そのケーキを、至極たいせつに家まで持って帰ること!
我が家には、車がありません。
ケーキ屋さんへは、いつも自転車での往復になります。
これまで幾たびも、自転車でお誕生日ケーキを持ち帰っては失敗してきました。斜めになったり。倒れてしまったり。ケーキの紙箱に、ほとんどの生クリームがくっついてしまったことも。
なので、できるだけケーキを水平に。
振動を与えないように持ち帰ります。前カゴに乗せると、自転車の振動がじかに伝わるので厳禁。
つねに手持ち。左手にケーキの紙袋をぶる下げて、持ち帰ります。
急発進、急ブレーキは御法度。
段差の手前で一時停止。
乗り越える瞬間、ケーキをもった左手を一瞬浮かして進みます。
ちょっとの振動で、崩れてしまいますからね。
そしてお家に到着。みんなの笑顔が待っていました。
ミッションをクリアした安堵感が広がります。これでお祝いの準備はほぼ終了!
ふと竹内結子の主演映画「いま、会いに行きます」のワンシーンを思い出しました。一児の母として『澪』がケーキを買いに行く姿。あの瞬間は、きっとしあわせに違いないのです。
ケーキを運ぶ瞬間だけで、十分にしあわせ。
しかもこれからおいしいケーキを食べて、みんなでお祝いするのよ。
さらにしあわせな瞬間がやってくる予感と現実に、めまいすら感じそうでした。
お祝いする人のしあわせ、母としてのしあわせをかみしめる一日になりました。
おめでたい日に感謝。
この一年が素敵な日々になりますように。
※ タイトル画像は「shinsukesugie」さんにお借りしました。ありがとうございます。