日常にあった、三鷹跨線橋の思い出をお写真でつづる
JR三鷹駅の西側にある「跨線橋(こせんきょう)」の姿をご紹介しますね。文豪・太宰治ゆかりの鉄橋としても知られています。老朽化ゆえ、撤去されると聞いたのが今年の夏のこと。
私自身も三鷹に縁があり、たびたび訪れた思い出の地です。電車を眺め、鉄橋を散歩し、幼かった娘を歩かせ、太宰治が歩いた過去をふと思いおこす時間でした。さみしい思いでいっぱいです。
撤去される前に再訪しました!
この階段の脇に立つ太宰治のお写真は有名ですね。太宰治もかつては東京・三鷹で執筆しました。来客を案内したゆかりの鉄橋です。
1929(昭和4)年に古い建築基準で建設されたもので、老朽化が激しいゆえ撤去工事が始まりました。安全を考えると致し方ないのですが、やはり地域に溶け込んだ趣のある鉄橋が解体されるとさみしいです。
お天気が良い日は、遠く富士山を拝むことができます!ちょうど初雪のころでしたね。多くの鉄道の姿を眼下にながめることができます。
以降は10年前(2013年)のお写真です。
学生のときに出会った太宰治の著書「人間失格」。その読後感は何とも言えない無常感や、誰しも思い当たる節のある感覚。今の自分をもってしても言葉につづる勇気はありません。また当時の私にしかわかり得ない気持ちも多かったと思い起こすのです。
その太宰治が愛して止まない鉄橋を、令和に生きる私たちも歩ける奇遇さ。
浮世離れした感覚。夕焼けの方へと、電車が通勤客を乗せて消えていきます。
子連れ家族にとって、跨線橋は実にぴったりな散策場所だったのです。
鉄橋の上は車も自転車も通りません。歩行者だけなので、安心して子どもを歩かせられました。のんびりとした雰囲気がただよいます。
ガタガタと、橋の真下を列車が通り抜ける瞬間の振動と迫力といったら!西へ東へと走る列車を追いかけて、なんど鉄橋を横断したことか。
跨線橋で1時間以上、娘と遊んでいた時間を懐かしく思い出しました。階段を登ったり降りたり、電車を眺めては富士山と拝む時間。通りすがりの犬と遊び、旧友とばったり出会う。日常にあった心覚えは果ててしなく、いろんな生活のすべを、ここで経験することができました。
多くの人を引きつけて止まなかった跨線橋。
娘の成長を分かつ場所であったと同時に、友人と語らったり、ランニングの目的地になったり、一人物思いにふける場でもありました。
懐の大きかった跨線橋には、心から「ありがとう」の言葉を送りたいと思います。