
日記:2025/01/18 - 日本のジャズ史について考えてみた(3,800字)
年明けから昭和音大の講義の新しい授業のスライドを作ることに時間を割いていた。去年、授業中の反応を見ていても、日本のジャズについての話はしたほうがいいだろうなと思い、今年は日本のジャズの大まかな歴史を話すことにしたからだ。

この講義では学生から見て多少は関係があると感じられる時代までしか遡らないことに決めているので、日本にビバップが入ってきたくらいからの日本のジャズの歴史についてまとめて、2010年代以降はさすがに自分で調べろって話なので最小限に止めた。それに90分しかないので、かなり省略しながら流れを作ろうとした。という感じで、それなりに省いて作ったので大枠だけって感じなのだが、それでも本当に大変で、ぐったりしてしまった。年明けからこれが気になって気になって、頭の中にずっとあり、気苦労が発生していたくらい。友人にも相談したりもした。という感じで本当に疲れた。
◉1980年代以降の日本のジャズ史の不在
その理由は80年代以降をまとめるのが大変だったこと。1970年代以前なら既に存在している。例えば、相倉久人『至高の日本ジャズ史』のような新書も存在するし、副島輝人『日本フリージャズ史』や『THE DIG Presents 日本のフュージョン』みたいなカテゴリーに特化したものもある。
ただ、メインストリームのジャズ史となると80年代以降をまとめたものはまだ存在していない。
そもそも骨子くらいならどこかにあるのかと思いきや全くなかった。「あれが良かった」「このアルバムがいい」みたいな話はいろいろあるのだが、そういう話は歴史を紡ぐためにはあまり役に立たない。歴史に思い入れは要らないので、正直、ただのノイズでしかないし、そもそも断片的に書いてあるものはたいてい偏りまくっていて、何の役にも立たない。そんな状態なので、自分で流れを考えるしかなかった。
とはいえ、80年代には一応、それなりに文脈はある。70年代から連なるものがそこにあるので、50年代からの延長として、歴史として書くことは容易かった。
◉1990年代の日本のジャズ史
90年代は更に難しかった。本当に難しい。日本のジャズの歴史に誰も手を付けられなかった理由はここにあると思った。
ここから先は
面白かったら投げ銭をいただけるとうれしいです。