真面目そうに見える人

一時期、前職の経理の女性から、給与が大変低く非常に辛いという相談を受けていた事があった。(社内で割と異端であった事と中途入社の時期が近いためだろう)
具体的な金額には言及しなかったが、業務内容を考えるとそこまで低くはなかったはず(中央値前後)で、しかも前職よりはアップしているという話も聞いており、納得が行かないほどではなかったと思う。
にも関わらず、ある時給湯室で咽び泣き始めたのでなかなか驚いた事がある。

彼女が給与の事で傷心していたのには理由があり、周囲の仕事をしない管理職が自分よりはるかに多い額を得ていたからだ。
JTCおじさんたちのパワハラやらセクハラやら居眠りやらを頻繁に目撃する度、どんどん憂鬱になっていったらしい。

しかし、中途入社1年ぐらいのぽっと出経理より、会社ひと筋30年の50代JTC管理職おじさんの給与が2倍以上高いのは当たり前だと思うのだが…。

それで納得が行かないのならば、さっさと会社に見切りをつけ、実力主義のベンチャーにでも転職した方が良いだろう。
少なくとも前職よりも給与は上がったのだし、在籍している間に簿記2級でも取得してスキルを上げ、前職は◯万で資格も取っているので年収30万は上げたい…とでも言って転職をキメた方がスマートだ。

しかし、年季よりも実力を認めて欲しいと言いながら、本当に実力主義の会社へ行ったところで辛い思いをするのは間違いなく、まず受かりもしないだろう。
彼女は度々「私は本当は優秀なの」と発言していたのだが、真に優秀ならば、JTCおじさんより給与が少ないと咽び泣きながら勤務してはいない

前職のJTCおじさんズよりは働き者なのだろうし、学習に励んでいるのもわかるのだが、妙に視野が狭い事と一般的な常識に欠けているように見えた。
彼女は既に40手前の独身OLなのだが、それにしてはなんだか妙に青臭いというか、世間知らずのような考え方をしているな…と思っていたところ、30過ぎるまで正社員として働いた経験がなく、20代は舞台に明け暮れていたのだという。

しかし、役者側ではなかったようで、そこのところを突っ込むと何故か急にあいまいになり、言葉を濁すのだった。

過去の自分の足取りを探られたくないのか、はたまた検索すれば出てくるような揉め事でも起こしていたのだろうか…?

思うのだが、実際にはほぼニート状態だったのではないだろうか…?
舞台が好きだったから(あるいは追っかけをしていた)という理由で「20代の頃は夢を追っていた」という設定にし、自分の過去や記憶を納得の行くものにしたのではないのか。
しかしそれでは説明を求められてもうまく回答ができない。
彼女にはそこまで設定を作り込む想像力がなく、そのような事実もないのだから。

まあ妄想なのだが、20代の経歴を語れず、仕事については1社前までの話しか出来ない。まるで若者のような自己評価の高さと青過ぎる価値観。堅実かつ真面目そうに見える容姿でありながら、時折、奇妙なほど幼い態度を見せる辺り、確度は高いように思う。

現在は退職し、新たな道に進むべく学校に通っているらしい。
もはや交流はないのだが、上手くいくと良いと思いながらも、考え方の問題によりまた別の苦しみを味わうのだろうとも思う。

(追記)夢追い人であったなら、今は辛酸を舐めているが、かつてはこんな夢があったのだと大抵は誇らしげに語るものだが、それが全くと言っていいほど見られない(プライドが高いにも関わらず)のはそういう「設定」だからだろう。

しかし、この人からは精神病質的なものは感じられなかったので、いずれは年齢なりの社会性を身に着けて克服すると思う。年季の入った元ニートがJTCくずれの企業へ滑り込んだのだとしたら充分快挙と言える。

それにしても(自分自身を含め)負の個性が集い過ぎる会社だ…。

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