右と左
「アブラハムの子」という歌。
~♬
アブラハムには7人の子
1人はのっぽで あとはちび
みんな仲良く暮らしてる
さあ 踊りましょう
右手 左手
右と左を覚えるために、この歌を幼稚園や保育園で習った人も多いはず。
私も幼稚園でこの歌を歌い、この歌で右と左を覚えた。
この歌があまりに強烈だったのか、右と左を覚える能力が欠落していたのか、長らく私はこの歌をワンコーラス歌って「右手、左手」までたどり着き、初めて「あ、こっちが右だ」と判断していた。
瞬時の判断は、当然できない。
早口で超高速で歌ったとしても5秒くらいかかるし、脳内で歌いながら右手を実際に振る姿はかなり間抜けだ。
そして、右手を振った後でなきゃ左は分からない。
そんなわけで、左右をよく間違えていた。
高校生までこの状態が続いた後、大学生になり、「右手、左手」までの前半部分を省略することができるようになった。
5秒が1秒に縮まった!
それでも、左右をよく間違えていた。
この状況は40代半ばの今でも変わっていない。
幼稚園児の時と同じく、「みぎぃ~て、ひだぁ~りて」と脳内で歌いながら、脳内の右手を振って確認する。
実際に右手を動かすこともある。
私にとっての左右は、上下のように確認しなくても分かる概念ではないよう。
実際右利きだし、右手で文字を書くし、ピアノに座れば右手が音の高いほうにあることも分かる。
ところが、実際の右手を動かして右を確認するのに、左右を間違えることが多い。
特に、本や楽譜の右ページ・左ページを間違えることが、本当に多いのだ。
最初は9割近く間違え、気が付いて修正できたならラッキー。
私から左右を間違えたメッセージを受け取った人や言葉を聞いた人も多いはず。
毎回、何度も何度も歌って右手を振って確認するのに間違える。
アブラハムが憎い。
「7人子供がいて一人はのっぽで後はちび」という情報が、私の人生の中でたぶん5位以内に入るほどの再生回数で脳内に流れている。
ちなみに、アブラハムについてはこちら。
https://news.nicovideo.jp/watch/nw5191406
ところが、最近、どうして右手を振っても左ページを右だと思い込むのか、突然分かったのだ!
それは、
本にとっての右側を右と思うから!
これを誰に説明しても、「?」という顔をされる。
見事、顔面に「?」が貼りつく。
つまり、こういうこと。
本を人だとすると、本の人の顔はこっちに向いており、本の人にとっての右手は私の左側にあるのだ。
つまり、こういうこと。
ほら、「右ページはどっち?」と聞かれたら、本の右手がある方が右ページでしょ?
ということで、高確率で左右を間違える原因が分かった。
対策としては、右だと判断した方は左なんだと二段階で考える。
もしくは、本を背表紙側から考える。
だけど、今のところあまり成功していない。
パソコン画面でも、パソコンの人の顔はこちらに向いており、パソコンの人にとっての右側は私にとっての左側だ。
スマホも、テレビも、スピーカーも、棚も。
みんな私に向かっているから。
鏡に映っている自分だけは、右が右側。
一番困るのは車に乗っている時で、道路もなぜか左が右なのだ。
道路がこっちを向いているような気はしないのだけれど。
道案内が必要な時は、あらかじめ左右を確認しておくことにしている。
とっさの判断が5割の正解率だと命取り。
元素記号を語呂合わせで覚えるのは、たいていの場合メリットしかないだろう。
元素記号がとっさに出てこず、命を落とした人は、そうはいないはず。
だけど、左右はそうはいかない。
万に一つでも、こんな人にならぬよう、アブラハムには引退してもらい、左右をしっかりと幼稚園児に教えてもらいたいと、切に願う。
実際には、アブラハムは濡れ衣を着せられてるだけなんだけど。
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