未命名設計

FOOD@台北:200220-吳寶春麥方店 臺北信義旗艦店

歴史には植民され続けて結構アレだったのと、今も現在進行形のいざこざもあるため、世界を見る台湾人の目は何かと屈折。海外で賞を取ったり、国際大会で優勝した台湾出身者を見かけては、何かにつけて「台湾の光」と祭り上げたがる。吳寶春(ウー・バオチュン)もそのひとりだった。

いや、素ですごい人だよ。苦労の多い幼少期を根性と努力で乗り越え、米を主食とする東洋人なのにフランスで開催される国際的なベーカリーコンクール「マスター・ド・ラ・ブーランジュリー(Masters de la Boulangerie)」の優勝をもぎ取った、すごい人なのだ。詳しくはWikipediaの項目でも読んでくれ。

そんな「台湾の光」のパン屋。本店は高雄にあるのだが、2013年から台北の誠品生活松菸店に出店したのち、2018年8月で台北101の近くに移転。自宅の近くにあるため、時々ふらりと見に行ったりする。

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2010年の国際大会での優勝作「荔枝玫瑰麵包」(ライチとバラのパン)と、2008年に惜しくも第二位となった「酒釀桂圓麵包」(リュウガンとワインのパン)との二大看板商品からも見えるように、台湾の代表的なフルーツや穀物これでもかとパンに取り入れ、香り付けに花とお酒を使う傾向が強い。バラの使い方がとても好き。

材料に見合った値段も平均より倍ぐらいしたり、極めて見た目重視でぶっちゃけ観光客向けのお店だが――パンはいっさい手抜かりなく、本格的でおいしい。自分の中では台湾パン界での鼎泰豐のようなポジション。

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季節限定のほか、「台北限定」のような支店限定の商品や、イベントや他ブランドとのコラボ限定商品、雑誌特集のようなテーマ限定商品なども多い。十数種類の定番商品以外、ほとんどほにゃらら限定の感じ。常に見たことのないパンと出会う新鮮感が満ちっていて、常にいま買わねばならぬとの物欲に迫れるジレンマ。

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紫米を使う「花開富貴」(花咲富貴)、外側はクロワッサンで中はブリオッシュにサツマイモ餡の「花語」(花言葉)、ラズベリー粉をふりかけたはちみつクランベリーパン「瑰蜜」(ばらのみつ)。2018年「台中フローラ世界博覧会」とのコラボ商品はどれも美しい。絶版 (´;ω;`)

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夏季限定のマンゴーパン。毎年違うようだ。一個150元はマジで気軽に買えないから、味は知らない。

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今年のバレンタインのあとに続いて、2月18日から登場した「特集」が「養生麵包系列」。直訳すると「摂生パンシリーズ」。薬膳食材として有名な黒にんにく、柿、ネギ、紫米、シロキクラゲ、ハスの実を使ったパンがよりどりみどり。もともとパンとの相性のいい黒にんにく(と普通のにんにく)による商品が多く、「黑蒜法國」(黒にんにくフィセル)だけ買った。袋を開けるとにんにくの香りがふわっとくる癒やし系。

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ビジュアル系は柿パン。ヘタの生地に抹茶粉が練り込んである。割ってみると本当に干し柿が入っている。黒豆をタネとして仕込む演出も。柿味でなく「柿である」とこだわりまくっている一品。

と。台北店はカフェスペースも併設。「看板商品のでかいパン買って帰っても食べれないや!」との人のため、ライチとバラのパン、リュウガンとワインのパンのほか、2016年にまた世界コンクールで優勝した「梅引茶香」(砂糖塩漬け梅と阿里山銘茶のパン)と春の塩ブリオッシュと一皿にした「冠軍的滋味」(チャンピオンセット)がある。パン三枚+ブリオッシュ一個で360元はかなりアレだけど、旅行か写真を取りに来るんだったら歯を食いしばって注文しよう。

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まあ写真を撮ったらこんな感じですね。

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隣にあるのはライチとバラのスムージー(180元)「ライチとバラのパンを食べるのなら、スムージーもライチとバラだろうよ!」との短絡な発想からの衝動注文。

値段は張るけど、噛みごたえはあるので、オリーブオイルとバターを活用してちゃんと噛めば、満腹中枢は満たされるはず。いつも満席のカフェはたまたまこの日で空いてて、もともと隣のアメリカンレストランでランチミーティングをしようとやってきた、会社の女の子を連れ込んでシェア。

コーヒー類は台湾の有名なカフェFika Fika Cafeとのコラボ。同じく世界チャンピオンである台湾人バリスタが考案した、パンにより合うコーヒーメニューを五種類。

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個人的にはマンゴースムージー(180元)と、牛肉人参スープ(110元)がおすすめ。暑苦しい日にはマンゴースムージーで募る疲労を吹き飛ばしい、心が冷え切って泣きたいときには牛肉人参スープで温めよう。

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開店当時は大型の観光バスが店先につけて、台北旅行の重要なスポットとして、売り場もカフェスペースにも各地からのツアー客が賑わっていたが、今年に入ると新型コロナウイルス大流行の影響もあって、カフェはかなり入りやすくなった。いつでも飲み食いしに行けるのがとても嬉しい反面、採算が取れなくなって消えたらどうしようと――どうか消えないでほしい。たまには牛肉人参スープ飲みたいよ。

吳寶春麥方店 臺北信義旗艦店
WuPaoChun Bakery Taipei
110 台北市信義區信義路五段124126號1F
+886 2 2723 5520

撮影時間:2019年9月17日~2020年2月20日
注文内容:多すぎるので略

同情するなら金をくr……あ。いいえ、なんでもないです。ごめんなさいご随意にどうぞ。ありがとうございます。