
ウボォーギンさんとビルの対銃火器防御力に見るオーラの防御性能・攻撃性能
410話で、再度休載となってしまうHUNTER×HUNTER。
暗黒大陸編では、デフレが激しくなっており、(おそらく)9mmパラですら呻きながら防御する強化系が出る始末…… ウボォーギンさんは草葉の陰でさぞ嘆いているでしょう。

この記事では、銃弾の威力をwikipediaなどから引用すると共に、オーラの攻防力の実態について考察したいと思っています。
まず、9mmパラの威力です。この記事では、防御力を鉄鋼板の浸徹深さ換算で述べたいと思っています。最初のうちはジュールで言っても直感的に分かりずらいので。
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00061/2005/32-01-0057.pdf
この論文のJacob de Marre 式から読み取ると、鉄鋼板の浸徹深さは弾丸が鉄鋼板に垂直に当たるとすると、
$${S=K\dfrac{1}{d^{1.15}}(mV^2)^{0.769}}$$
となります。
Sが浸徹深さ(cm)、K=0.00145、dが弾丸直径(cm)、mが飛翔弾丸質量(kg)、Vが衝突速度(m/s)です。
まずは練習問題として、9mmパラからビルの"凝"による防御力を探ってみましょう。
ビルの"凝"
現実世界でもハンターハンターの世界でも、9mmパラの威力は同じだと仮定します。
d=0.901,m=0.008,V=350として、代入するとおよそ0.32635cm。
3.2mmの鉄鋼板をギリギリ貫通できる程度の威力です。ビルがうめき声をあげて防御しているところを見るに、これでギリギリの防御だったということでしょう。
ビルは、キメラアント編初期の、『中堅』レベルと称されたゴンよりもやや弱いような印象があります。同じ強化系の念能力者ですが、熟練度には差があるのではないでしょうか。
さて、ビルの強さはひとまず置いておいて、本題であるウボォーギンさんの防御性能を見てみましょう。
ウボォーギンの"堅"
まずは対物マテリアルライフルです。

対物ライフル、とりあえず12.7×99mm弾と仮定しましょう。
計算式に代入して、と。
およそ35mmの鉄鋼板にギリギリ孔が開く程度の威力のようです。だいたい9mmパラの11倍の威力ですね。
ウボォーギンさんは不意打ちで喰らっているので、"凝"も"硬"も"流"も使っていない、デフォルトのオーラ防御力です。攻防力50と言ったところでしょうか。僅かながら痛がっているので、だいたい35mm鉄鋼板程度の防御力だと見ていいでしょう。
では、"凝"によって防御した場合、どうなるでしょうか。
ウボォーギンの"凝"

『戦車も一発でオシャカにしちまうスーパーバズーカ砲』は、ここでは89mm口径型ロケットランチャーとして考えてみましょう。
弾丸は、HEAT弾とします。
WW2時だと直径の150%~250%。現代のものは直径の700%の鉄鋼貫通能力を持つものもある、とあります。20世紀末のヤクザが持つ型落ち品が700%はあり得ないでしょう。多めに見積もって500%とします。
89mm*5=445mm。なんと鉄鋼板445mmもの厚さを貫通できるバズーカ弾を"凝"で防いだ、ということです。
これは体表の皮が剝けていたので、"凝"でも鉄鋼板450mmの防御力といった感じでしょうか。
ただの"堅"と、オーラを集中させた"凝"でおよそ10倍もの防御力の差があります。
AOP換算
ここでビルの話に戻りましょう。ビルは"凝"で鉄鋼板換算3.5mmの防御力を持ちます。
"中堅"である蟻編初期ゴン=フリークスのAOPが1800です。ビルはそれよりやや弱い1500としてオーラの防御性能を考えてみましょう。あまりに弱すぎても暗黒大陸往きのB・W号にハンター協会員として乗ることはできないでしょうし。
なお、ここからは消費するAOPと体外で維持するAOPを区別するため、前者を"消費AOP"、後者を"装甲AOP"とします。防御性能は熟練度に依存せず装甲AOPの高さに依存するものとします。
装甲AOP1500の"凝"が鉄鋼板換算で3.5mm。そして、"堅"と"凝"の差はおよそ10倍です。しかし、ウボォーギンさんは掌、ビルは半身で足と前腕にオーラを分散させて"凝"しています。単純に10倍というのは短絡的です。
掌は全身の体表面積の1%と言われていますが、ウボォーギンさんの掌は大きそうです。2%くらいあるでしょう。ビルは普通体形ですので、左前腕表1.5%+左脛表3.5%=5%くらいあるでしょう。
ウボォーさんの場合。体表2%にオーラを10倍集めると、98%の部位ではオーラがおよそ4/5になります。
ビルの場合。体表5%にオーラを集め、95%のオーラを4/5削るとすると、体表5%のオーラは4.8倍(装甲AOP360)です。
つまり、装甲AOPと鉄鋼板換算の防御力が線形比例すると仮定して計算すると、装甲AOP1500のまんべんない"堅"=全身に鉄鋼板換算およそ0.72mm防御力です。装甲AOP100の"堅"=鉄鋼板0.048mmというのがよくわかります。下手な念使いよりそこらの大型犬の方が強くない?(困惑)
そして、ウボォーギンさんの全体装甲AOPは9万4千です。計算はミスっていません。ナニカガオカシイ。
ただし、ハンター世界は人間の基礎的なスペックが高いです。

オーラが無くても、弾丸を防御できる人間はいるかもしれません。ウボォーギンさんは素の肌が固い特殊体質なので、オーラ量を止められたという可能性はあり得ます。そこまで計算すると面倒くさいので生身の防御力は銃弾相手では誤差ということにします。
ジュール(熱量)換算
では最後に、ウボォーギンさんの"超破壊拳(ビッグバンインパクト)"の威力とそれに用いたオーラ量を計算していきたいと思います。
ここでは、鉄鋼板換算ではなくジュール換算で消費AOP量を計算していきます。ただし、"あるオーラ量での攻撃は、同じオーラ量の防御で相殺できる"というアルテリオス計算式を採用します。

ウボォーギンさんは、掌に"凝"を行いスーパーバズーカの弾を防ぎました。掌に込めた装甲AOPはいくらでしょうか。
そう、およそ1/5ですよね。これにより、スーパーバズーカを防ぐのに使ったAOPは9万4千の1/5、消費AOP18800です。貫通目前まで行ったため消費AOP=装甲AOPとします。
M456A2 HEAT-MP-Tの弾頭はTNT換算1.07kg(らしいです、Twitterで見ただけでソースは見つかりませんでした、許して)であり、4.5MJほどです。つまり、消費AOP18800で4.5MJの防御ができる、ということです。
さて、ライフル弾はどうでしょう。弾丸の着弾面積はだいたい5cm2が二発ですが、だいたいその五倍の面積を防御に使うと仮定して、50cm2。体表面積を図る計算式、藤本式ではウボォーギンさんは体表面積3.6m2ですが、脂肪がほとんどないため33000cm2の体表を持つとします。すると体表の0.1515%、消費AOP142を使ってライフル弾二発を防いだ計算になります。これも痛いと言っていたのでだいたい貫通目前まで行った計算です。12*99mm弾二発の運動エネルギーは37.9KJです。
ここで注目すべきなのは、オーラはエネルギーであるが実体でもある、ということです。変化させてゴムや糸にしたり、具現化して鎖にしたりできます。鋼鉄板換算では防御力がオーラ量と線形に比例すると仮定しましたが、ジュール換算攻撃力が線形に比例するとは限りません。
という訳で、142AOPで37.9KJ、18800AOPで4.5MJ。オーラ132倍で熱量ジュールは118倍。きれいな比例はしませんでしたが、予想に反してほぼ線形に回帰直線が引けると思います。
ビルの"凝"による装甲AOPは360で9mmパラ4発を耐えました。左前腕表と左脛の表面積は体表の5%ですが、全身の体表は17700cm2ほどであるため、該当部位は885cm2です。9mmパラの弾丸の着弾面積は2.6cm2、これが4つで10.4cm2ですが、防御に5倍の面積を消費して52cm2。該当部位の5.87%を防御にしようしました。装甲AOP360の5.87%であるため消費AOP21でしょう。9mmパラ4発の消費エネルギーはおおよそ2KJであるため、ビルの場合は消費AOP100あたり9.52KJであることがわかります。これはウボォーギンさんとの熟練度の違いですかね。もしかしたら防御に使う面積はもっと広いかもしれません。
超破壊拳の消費オーラ
超破壊拳を、まずはジュール数から算出します。
そのスケーリング則を用いると,衝突速度にもよりますが衝突物体のおよそ10倍程度のクレーターが出来上がることになります.
このサイトを用いて計算します。
"超破壊拳"によって作られたクレーターは、目測だと直径15mほどです。威力としては1.5mの隕石が落下したのと同じだと言えます。隕石の終端速度は体積の1/2乗に比例するため、110m/s、密度はやや重めの石質隕石だとして4t/m3。これにより42.765MJと出ました。これはTNTおよそ10kg分です。
これをスーパーバズーカの防御に用いたオーラ量と比例させて消費オーラを算出すると、消費AOP17万9千の消費になります。これはウボォーギンの通常時の全顕在オーラである装甲AOP9万4千の1.9倍であり、"超破壊拳"の出力の高さがうかがえます。
結論
ウボォーギンさんは強いということが分かりました。
全身装甲AOP100あたり鉄鋼板0.05mmの防御性能や、消費AOP100あたり26.7KJの運動エネルギー吸収・生成ができるということ。そしてウボォーギンさんの全体装甲AOPは9万4千から17万9千であることも分かりました(小学生並みの感想)
消費オーラ量と熱量と熟練度は、おそらくこのような関係性になっていると思われます。
$${E=sTA}$$
Eの単位はJ,Tは定数でおおよそ300,sはオーラ効率で0~1の値を取り人間の熟練度に依存します(ビルは0.3、ウボォーさんは0.89)。そしてAはオーラ消費量です。

反省点
仮定に仮定を重ねまくってていいのかな……と思いましたが、漫画の与太話なのでこれでいいでしょう。消費オーラと生成熱量が計算してみてもだいたい比例って凄いっすね冨樫先生。
おまけ、ハルケンブルグの念のオーラ量算出
「直径5メートルの火球の超音速射出」に相当するオーラ量を算出します。
直径5mの火球は体積おおよそ65m3です。火球が気化ガソリンで構成されていると仮定すれば、化学エネルギーは234MJになります。さらにその気化ガソリン球体を超音速で射出されると、速度は1000m/s質量46.5kgとして23.25MJ。合計でおよそ257MJだが、これを消費AOPで換算すると、ウボォーギンさんレベルのオーラ効率でも96万2千。モントゥトゥユピーのPOP超えてるんでは? 王位継承戦編はデフレしていない(強弁)。
追記1,ジャジャン拳『グー』の威力とオーラ換算

『グー』は、直径2m以上はありそうな岩を複数に砕く威力のあるパンチです。その威力を今日は算出してみましょう。
2mの岩を砕く威力を直接算出するのは難しいので、コンクリ壁に1mの深さの穴を開ける爆薬の量からエネルギー量を算出したいと思います。半分を完全に粉砕できるということは、残りの半分もある程度ヒビが入っていたりバラバラになっている可能性が高いです。
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00034/23-01/23-1-12577.pdf
この論文に記述されている数式を用いる、コンクリートに1m穴を開けるために必要なTNT火薬の量はおよそ1.5kg。これをジュール量に換算すると、1.5MJです。
そして、1オーラが300ジュールだとすると、5000オーラ分の威力です。
『グー』の消費オーラは4000。これはナックルとの戦闘時であり、緊張しており、かつ消耗していた状況での消費オーラですので、修行時のリラックスした状況ではもっと多いかもしれません。仮に7000オーラが修行時の『グー』の消費オーラだとすると、オーラ→威力への転換効率は約7割です。