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観光地に暮らす

私が暮らす
長門湯本温泉は、
小さな観光地。
 
2021年に移住した当時は、
コロナ禍の真っ最中で、
人通りがほとんどなかった。
 
最近、
ようやく増えてきたが、
10人ほどの観光客が
まちを歩いていれば、
「今日は人が多いね!」
と話題になる。
 
その程度の観光地だ。
 
ゴールデンウイークや、
秋の行楽シーズンでも、
15〜20人くらい。
 
実際は、
もっと多くの観光客が
いるのだろうが、
ホテルや旅館から
出られない方も多い。
 
このまちで
暮らす身には、
これくらいが
丁度良い。
 
静かで、
のんびり、
適度に人の姿がある。
 
まちの人は皆
知り合いだから、
見知らぬ人なら
大抵、観光客だ。
 
キョロキョロ
周りを見回していたり、
まちの地図を
手にしてらっしゃるので、
すぐ分かる。
 
こちらから
「何かお探しですか?」
と声をかけることもあるし、
 
観光客の方から
声をかけられる
こともよくある。
 
呼び止められたら、
喜んでお話しする。
 
湯本温泉を目一杯、
楽しんでいただきたいので、
訊かれもしないことまで
色々お教えしてしまう。
 
「幸進堂さんのワッフルや
季節のお菓子は絶品です」
 
「まちの湯は源泉掛け流しの
アルカリ性温泉で、
お肌が綺麗になりますよ」
 
「大寧寺に行くなら、
旧参道を通ってみて下さい。
お地蔵様があちこちにいらして、
情緒があります」
 
「eBikeをレンタルしたら、
30分で海にいけますよ」
 
自分が暮らすまちを
わざわざ遠くから
訪ねて来て下さるのは
嬉しいものだ。
 
長く暮らした
スイス・ジュネーブは、
金融と高級時計、
国連や国際機関のまちとして
知られるが、
観光地でもあった。
 
レマン湖周遊や
モンブラン観光、
広大な公園の数々に
旧市街。
 
世界中から観光客が
やって来る美しいまちだった。
 
24年暮らしても、
毎日、美しいなぁ、
と感動した。
 
ここ長門でも、
わたしの毎日は
感動がいっぱいだ。
 
観光地には、
遠くても出掛けようと
思わせる何かがある。
 
湯本なら温泉。
ジュネーブならレマン湖。
 
そんな場所に
暮らすのは、悪くない。
 
わざわざ遠くに
出掛けなくても、
日常が旅になる。

(タイトル写真は、1月31日から始まる、光と詩のフェスティバル、「うたあかり」のポスター。湯本のまち全体が夢のようになる)


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