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最後に住みたい町

スイスに暮らしていた頃、
時々日本の夢を見た。
 
夢によく出てくる場所は、
私の好きな場所。
 
商店街と温泉。
 
モンブラン観光で知られる
シャモニーから
ケーブルカーで山に上がったら、
日本の商店街が広がっていた
なんて、夢もあった。
 
イギリス・ブリストルに
移住して、
最初に住んだのは、
Clifton(クリフトン)。
 
1864年に完成した
美しい吊り橋と
広大な公園
クリフトン・ダウンが
ある。
 
緑が多くてオシャレな
ブリストルの一等地。
 
気のいい
イタリア婦人が暮らす
マンションの一室を借りていた。
 
快適だったのだが、
大学から遠いので
引っ越すことにした。
 
引越し先は、
商店街のように
個性豊かな
個人商店が並ぶ、
Gloucester Roadの近く。

新鮮で安全な
野菜や果物を
安価で売る八百屋さん。
 
ホルモン剤も
抗生物質も
使わない牧場から
届くお肉を売る
お肉屋さん。
 
自然食品のお店、
美味しいパン屋さん
個性溢れるカフェが
沢山あった。
 
古着などの
セカンドハンドを売る
チャリティーショップも
5〜6軒あって、
見て回るのが楽しみだった。
 
スイスのチョコレートより
美味しいチョコを売るお店や
クラフトビールのキットの
専門店もあった。
 
ストリートアーティスト
バンクシーの故郷だからか、
見応えのある
ストリートアートも多かった。

楽しく快適な暮らしだった。

が、
コロナ禍が始まって、
大学も研究室も
閉鎖されてしまうし、
商店街も寂しくなった。
 
論文は何処でも書けるので、
一旦、日本に帰ろうと決めた。
 
そこで、移住先に選んだ場所が、
ここ、長門湯本温泉。
 
自然が豊かで、
車の少ない静かな場所、
温泉に毎日通える場所、
オモシロイことが
起こっている場所。
 
長門湯本温泉は、
この条件にピッタリだった。
 
暮らしてみると
予想を遙かに超えていた。
 
私がこれまで暮らした、
日本、スイス、イギリスの
どのまちよりも良い。
 
私にとっては、だ。
 
住みたい町は、
人それぞれ違う。
 
同じ人でも、
年令と経験によって
変わってくる。
 
作家、
井形慶子さんのご両親は、
90才を目前に、
終の住処として
商店街の側を選ばれた。
 
長年住み慣れた
海が見える家を手放して、
街中の小さなマンションに
引っ越しだ。
 
そのいきさつは、
井形慶子さんの著書
「最後は住みたい町に暮らす」
に詳しく書かれている。

終の住処は、
自分にとって居心地の良いまち、
自分のペースで
安心して暮らせるまちがいい。
 
貴方の
最後に住みたい町は、
どんな町ですか?

(タイトル写真は、長門板持辺りの田園風景。さーっと開ける大らかな景色が好き)

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