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209. お塩がつなぐカリフォルニアと長門
毎日のお料理に
愛用しているお塩は、
長門油谷湾の海水から
つくられる
百姓庵のお塩。
百姓庵のお塩は、
海のミネラル組成と
ほぼ同じ。
人の体液のミネラル組成も
海とほぼ同じ。
全ての動物の先祖は、
海にいたから。
だから私達の体には
海がある。
百姓庵のお塩が
体に馴染むのは、
私達の体内にある海が
喜んでいるからかもしれない。
百姓庵の井上雄然さんは、
流下式塩田や
木材を焚いて鉄釜で
海水を煮詰める
昔ながらの方法で
塩をつくる塩の匠だ。
その百姓庵に
塩づくりにハマった
カリフォルニア人Jeffが
やって来た。
Jeffは独学で
塩づくりを学び、
カリフォルニアに塩工房を
持っている。
いつか日本の塩づくりの
現場をみたいと思っていた。
昨日は、
Jeffの通訳をしながら、
私も百姓庵の塩づくりを
詳しく教えていただいた。
Jeffも私も
感銘することが多かった。
井上雄然さんは、
塩づくりに最適な土地を
見つけるために、
一年かけて、
日本中の海水を舐めて回わった。
そして、
見つけたのが、
長門の油谷湾。
油谷湾には、
2本の川の水が流れ込む。
その川水には、上流にある
森のミネラルがたっぷり含まれている。
だから、油谷湾には、
森のミネラルと
海のミネラルが
共存している。
ミネラル組成は
四季によって微妙に
異なるので、
お塩の味も変わる。
例えば汗をかいて、
体のミネラルを失いがちになる
夏の塩は、
ミネラルの旨みが
凝縮されて味が濃い。
反対に冬の塩は、
雑味のない
スッキリした
味わいの塩になる。
自然の恵みと
匠の技が、
体が喜ぶ塩を
生み出す。
私は百姓庵のお塩を
カバンに入れて、
いつも持ち歩いている。
物足りない外食に
一振りすると
味が際立つ。
閃輝暗点という、
視界が光るギザギザで
遮られる発作が起こった時に
ひと舐めすると
すぐおさまる。
寝る前に
ひと舐めすると
夜中にトイレに
行かなくなった。
百姓庵のお塩が好き、
と言うより、
体が求めている。
私の中の海が
百姓庵のお塩を
求めているのかもしれない。
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百姓庵を訪れて、
感動の連続だったJeffは
来年の夏、
百姓庵に弟子入りする。
その時は、私も一緒に
兄弟弟子にしていただこうと思う。