『エルフの工房物語』マスク&ポーチ2
そんなこんなで憂鬱な気分、換えのマスクを買うため、仕方なく、外出、
ドラッグストアを素早く往復しよう――そう思った時、
(あれ?)
見慣れないものがった、それは、
木々だった。
(こんな所に公園なんてあったっけ?)
街路樹で映えてるような木では無い、青々しく背も高い、まるで森に生えているような木があって——
なんとなく足を踏み入れ、なんとなく歩を進めた先、
「あら」
思わずマスクの下で、呟いた。
「こんな所にお店が」
それも唯ならぬ佇まい、外装はまるっきり、まるでファンタジーに出てくるような。土壁、木板の屋根、そしてドアには看板が掲げられている。
——革細工工房elfenworks
革細工かぁ、と、亜子は思った。興味はあるけど覗いていいものだろうか、革細工と聞くと鞄とかを思い浮かぶけど、そういうのには興味が無い、
そう、思った所で、ドアの張り紙に気付く。
"カラーマスク売ってます、ケースとセットでお洒落度アップ♪"
「……」
一目見た瞬間、思った。
余りにも出来すぎた展開じゃないかって。マスクの見た目で悩んでいたら、それにピッタリの商品が、インターネットじゃなくて、森の奥のこの店で見つけるなんて。
(うん)
ともかくこれも運命かと、彼女は店のドアを開けて、
——まるで仕組まれたこの出来事が
やはり、魔法か何かじゃないかと、深く思う事になる。
「いらっしゃいませ」
だって、迎えてくれたのは、
「ようこそ、革細工工房elfenworksへ」
耳が尖っているエルフだったから。
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