団塊さん「お前も老人になるんだから社会保障制度を縮小なんてしないほうがいいぞ」Zくん「僕らの大半は老人になれません」
「僕は今20代ですが、団塊さん(団塊世代、2024年時点で77歳)より長く生きれないと思います」
「氷河期世代(今の44歳から54歳)から、世代内格差が大きくなってます」
「格差の大きさはそれ自体が健康を損なうことが知られています」
「僕らの世代はお金もないです。独身の割合も高いです。僕らの世代は3人に1人は独身になるでしょう。そして独身男性は、既婚男性より14年以上早死にします*(違うかも)」
「新型コロナウイルス感染症の影響もあります。まだ寿命への影響は明らかになっていませんが、軽症でも脳機能に影響を与えるし、3回感染すれば5人に2人は後遺症を発症します。諸外国では若い人の心筋梗塞が増えています。ワクチンを打てとお医者さんは言いますが、15300円のワクチンを半年に1回接種するのは難しいです。団塊さんみたいに助成を受けて自己負担額が2500円なら、僕も接種したいんですが」
「気候変動の影響もあります。気温の上昇は様々な感染症を増やしていくことが知られていますし、過度な暑さは精神疾患を増やします」
「どんどん薬を手に入れるのが難しくなっているから、近いうちに基本的な薬剤も手に入らないかもしれません。この薬の中には、歯科で使う局所麻酔薬みたいな、本当に基本的な薬も含まれているんです」
「僕が加入している協会けんぽは、2033年に積立金を使い果たす予定です」
「10年後には健康保険組合が機能しなくなるかもしれません」
「その理由は、組合員から集めた保険料の3分の1である3.7兆円を高齢者に仕送りしてるからです」
「僕はこの仕組みに同意していません。先日ここから異議を申し立てました」
「国が協会けんぽを補助すればいいと思うかもしれませんが、GDP比でみた国債の発行額はスーダンの次で、世界二位です。どんどん国債を発行できる余力はもう、無さそうです」
「この災いの種は1973年に撒かれたんですが、僕にはどうしようもなかった。まだ僕の両親も生まれてないですから」
「僕は団塊さんより貧しく、格差が大きく、老化を促進する感染症である新型コロナウイルスの流行が止まらず、貧しいために高額なワクチンは打てない社会で生きることになりました。気候変動が進み、健康保険組合は危機に瀕して、出生率が高まる見込みはない。結婚できる見込みもないです」
「僕が老人になる45年後には今の高齢者医療は維持できないだろうし、今よりずっと貧しく、平均寿命も短くなってるんだろうと想像するんです」
「今の制度を積極的に破壊しようと思ってはいません。でも、お前も老人になるんだぞっていうのは、あんまりに楽観的な考えです。それだけは訂正してほしい。僕らは老人になれない世代です」
「別にやけくそになってるわけじゃないですよ。健康には気を使ってます。ちゃんと野菜も食べるし、運動もしてます。酒も煙草も嗜まないです」
「ただ、それでも僕の人生は一人で、65歳位でおわるんだろうな、と思っています」
「知ってますか、団塊ジュニア≒氷河期世代の独身男性は、今までのデータを統合すると2037年頃に平均寿命を迎えるみたいです」
「団塊さんの世代の男性が平均寿命を迎えるのは2036年で、女性は2040年です。団塊さんの世代は、独身の息子さんの葬式にお母さんが出席する確率が50%くらいあるんです」
「米国では絶望死が起きた2005年ごろに、30代と40代のアメリカ人の死亡率が、彼らの親世代の死亡率より早い勢いで増加したことがあります」
「そこで米国の学者たちはこう言っています。親が成人した我が子が死ぬのを見るなどということはあってはならない。物事の順序が違う。子が親の葬式を出すべきであって、逆であるべきではないのだ、と」
「僕はこれに完全に同意します」
「団塊さんはどう思いますか。息子さんに弔われたいですか?それとも息子さんを弔いたいですか?」
「僕は高齢者を敬うべきだと思います。でも、自分の子供世代を犠牲にしている事実を認識しながら長生きを求める方々をどうすれば尊敬できるか、わからないんです。教えてください」