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少子化対策が(その意図とは無関係な)与えるシグナル
少子化対策を行うことは、国家が出産を推奨しているというメッセージを与える。
一方で、出産は支援されないと誰もやりたがらないものだ、というメッセージも与える。
また、子供がいない人を軽視するメッセージと考えることもできる。
増税と組み合わせた場合には尚更そうだ。
こうして、子どもを持つ人と持たない人の間に対立構造を生み出す下地が作られる。
三割が未婚の社会では、この対立は社会の不安定さを高めうる。
少子化になる理由は少なからず、将来の見通しが暗くて、経済的な余裕がないことに起因するのだから、単に現役世代の手取りを増やして、消費税を減らし、経済的な自由を増やすのが良いように思う。
制度の複雑さはその制度を理解し使いこなせる人にとっては有用だけど、そうではない人にとっては不利になる。
つまり、格差に繋がりうるのだ。
一方で手取りが増えて消費税が減れば、現役世代の手元に残るお金が増える。
それを消費に使えば景気が良くなるし、結婚や出産のために用いれば少子化が改善するだろう。
まあ、そもそも消費自体が交際の前段階として存在するように思う。
つまり身だしなみを整えることも、美味しくてお洒落なお店を見つけることも、一目置かれる趣味や技能を身に着けることも、一人暮らしをはじめることも、消費という一面を持つ。
でも現代の若者は
少ない手取りの元で
消費を控え(高い消費税と少ない手取り)
投資を促され(NISAとiDeCO)
老後に備える(年金と健康保険)
強いインセンティブが政府によって与えられている。
このインセンティブのもとでは、実家暮らしで消費を減らし、投資するのが最適解になりうる。
しかしそれは最も交際の機会を減らす選択肢でもある。
だから政府が作り出したインセンティブに抗う、ないし若くして十分な手取りを獲得できる少数派が、交際のチャンスを獲得し、結婚に至り、少子高齢化対策としての給付金を受け取れることになる。
これはおそらく格差を拡大する。
また、一夫多妻制は社会の不安定化を加速させることが知られているのだが、少子化対策は女性にシングルマザーを選択する動機をもたらす。離婚しても経済的苦境に陥る可能性が少なくなるのだ。
これが擬似的な一夫多妻制を作り出すことで、社会を不安定化させるかもしれない。
つまり、少子化対策には潜在的に社会を不安定化させるリスクがある。
そして効果の程だが、強力な少子化対策を行っているハンガリーでも、0.3程度の上昇にとどまる。
そしておそらくこの上昇は持続的ではない。
僕はどんな少子化対策が良いかについてはわからない。ある世代で良い政策も、次の世代で有効かははっきりしないだろう。
一方で少子化対策の矛盾したメッセージは、効果に乏しく、単にお金を無駄にするだけではないかと懸念している。
福祉国家という仕組みが少子化をもたらすんじゃないかと思っているけど、これはまだ思いつきに過ぎないから、また今度考えてみよう。