最近の若い子は車は乗らない、お酒も飲まない、タバコもギャンブルもしないんでしょ、いったい何にお金使ってるの?「健康保険と厚生年金と税金とつみたてNISAです。これ支払うには趣味を3つ諦めないといけないんです」
給与が20万円の場合、社会保障費(=健康保険+厚生年金+雇用保険)は、大体3万円になる。
1日一箱セブンスターを吸ったとして、600 × 30 =1万8000円
毎日アサヒスーパードライを2本飲むとしても、大体同じくらいの値段になる。
バーや居酒屋でそこそこにお酒を飲めば5000円はするだろうから、毎週飲み会をしていたら、値段は2万円くらいになる。
こう考えると、昭和の趣味というのは1つあたりざっくり月25000円、と考えることができる。
社会保障費は大体趣味
国民負担率は、税金の負担と社会保障の負担を足し合わせた値だ。
https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/sy202402a.pdf
現在の人口ボリュームゾーンである、団塊の世代が就職した時期である1970年には、国民負担率は25%程度だった。
それが現在は、48%程度と、二倍近くになっている。
つまり、初任給が20万円だったとき、1970年には実質的な自分が使えるお金は、15万円程度だった。
現在は11万円程度だ。
これはそのままそっくり、趣味2つ分になる。
最近は老後の金融資産を確保するために、NISAがブームで、まあ2-3万円くらい投資する人も多いだろう。かつてのつみたてNISAは最大33333円/月で、現実的なつみたて投資の金額は2-3万円くらいだろうという推定があったのだと思う。
これをやるためには、また一つ趣味を諦めることになる。
また、昔はなかったインターネット回線とスマートフォンの料金は、合わせて概ね1-2万円になる。
別に昭和の趣味を肯定するわけじゃないけど、趣味2つ分、社会保障費と税金でできなくなっていれば、諦めなきゃならなくなる。
団塊の世代と、給与が20万円の大卒新入社員が会話するとして、次のような主張が想定できる。
団塊の世代の団塊さんが、若い子はなんでこんなに無趣味なんだい、と質問して、反論する場面を想像すると、次のようになるだろう。
「団塊さんが新入社員の時と比べると、国民負担率が二倍に増えました。約25%から50%です。」
「趣味1つあたり、お酒も煙草も、月に25000円くらいかかります」
「使えるお金は僕の初任給だと、団塊さんが新入社員のときと比べて、5万円少ないです」
「これで趣味を2つ諦めてます」
「それでも、年金や健康保険は、50年後に今のままで維持されている保証はないです」
「だから、金融庁は老後に2000万円の資産を蓄えるよう推奨してます」
「そのためにつみたてNISAで月2万5000円積み立てています。趣味1つ分です」
「合計すると趣味3つ分です」
「3つ趣味を諦めると、団塊さんが就職したときと同じくらいの生活ができます」
「ちなみに子育て費用は、一か月あたり7万円で、趣味3つ分です」
「こうなる前に国民負担率を下げておけばよかったんですが、僕には選挙権がなかったから、変えることはできませんでした」
「僕らの世代は団塊さんの世代の65%しかいません。だから選挙で自分たちに有利な意見を通すことは難しいんです」
「近い未来に年金や健康保険の負担が減って、自分のお金が使えるようになればいいな、と思っています」
「少子化が進めば、社会保障は維持できないですし、僕自身が子供を持つ余裕がないから、僕の行動も少子化を加速させる。僕の周りも似たようなものです。だから僕らの老後は貧しくなることは覚悟してます」
「どうせ貧しくなるなら、せめて若いうちに自分で働いて稼いだお金で趣味に打ち込んだり、家庭を持ったりしたいです」
「だけど社会保障を削減し、減税を推進する候補者なんて殆どいないんです。自分たち向けの投票先がないんです」
「僕が一番多くお金を使っているのは、健康保険、年金、税金です。負担が多い分は、趣味を減らして対応して、将来不足する予定の年金を補うために、インデックス投資をしています」
「生活費で10万、税金、年金、健康保険で5万、インデックス投資で2万5000円だから、趣味はできて一つです」
「子供は持てません。インデックス投資をやめても使えるお金は5万円、月7万の子育て費用は出せません。それに、団塊さんが無趣味な僕を心配してくれたように、気晴らしは生きていくのに必要なんです」
「学生運動をされてたのって、団塊さんの世代の方ですよね。ああいう方法で社会は変わるんでしょうか、どうやって変えていけばいいんでしょうか」
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